レーザーで回路パターン検査を高速化 東大の技術を実用化へ
日立ハイテクは2024年11月7日、東京大学が開発したレーザー励起光電子顕微鏡(Laser-PEEM)の有用性を確認できたことから、半導体検査装置として実用化するため共同研究に乗り出したことを発表した。同装置を用いれば、従来に比べ回路パターンの検査工程を大幅に短縮でき、歩留まり向上に貢献できるという。 最先端の半導体デバイスでは、極端紫外線(EUV)リソグラフィーを用いてナノレベルの回路パターンを形成する。この製造工程において回路パターンの3次元的な加工精度や、局所的な材料特性の変化が、デバイスの性能に大きな影響を与えているという。このため、回路パターンの形状など必要な検査を高精度かつ高速に行う必要がある。 Laser-PEEMは、観察したい領域にレーザーを照射し、観察対象から放出される電子をカメラでとらえるため、より広い範囲で解像度の高いデータを一括で取得できる。このため、従来の走査型電子顕微鏡(SEM)に比べ、画像解析を高速に行える。その上、東京大学が開発した高分解能化技術により、「潜像パターン」など素材が有する化学情報の観察や、ナノレベルの立体構造を非破壊で観察することが可能になった。 しかも、Laser-PEEMは、約10~100nmの深さまで検出できる。このため、ウエハー内部に存在する欠陥についても、非破壊のまま「透かして」観察できることを確認した。不良個所の原因解析も、非破壊で行うことが可能となる。 日立ハイテクと東京大学は今回の研究内容について、2024年11月12日より京都で開催されるMNC2024(International Microprocesses and Nanotechnology Conference 2024)において、その詳細を発表する。
EE Times Japan