ブラックロックの参入は暗号資産にとって大統領選より重要:QCPキャピタルのCIOが語る
来週のアメリカ大統領選挙の勝者が誰になるかは、シンガポールを拠点とする暗号資産(仮想通貨)取引企業QCPキャピタル(QCP Capital)の最高投資責任者(CIO)であるダリウス・シット(Darius Sit)氏にとってはさほど重要ではない。 ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏とカマラ・ハリス(Kamala Harris)氏のどちらが世界最大の経済大国の指導者になるかによって、暗号資産市場に短期的な変動が生じる可能性はあるものの、より重要なのは、暗号資産、特にビットコイン(BTC)がアメリカの金融に広く統合されることだ。例えば、世界最大の資産運用会社であるブラックロック(BlackRock)が最大のビットコイン現物ETF(上場投資信託)を運営することで、その普及は拡大している。 「今年最大の変化はブラックロックだ」とシット氏はインタビューで語った。 「突如として、ブラックロックの広大なネットワークにビットコインが流通するようになった」 「ブラックロックのCEOであるラリー・フィンク(Larry Fink)氏がCNBCでビットコインが価値の貯蔵庫であると語ったとき、暗号資産がアメリカの投資の物語の一部になったと思った。ブラックロックは暗号資産を辺境からメインストリームへと引き上げたのだ」と彼は語った。 トランプ氏は選挙キャンペーンの一部として、アメリカの暗号資産規則がプロジェクトにとって魅力的であることを保証し、彼らが国内にとどまることができるようにした。これにより、トランプ氏の暗号資産政策は、CoinDeskからも珍しく支持を得た。分散型予測市場ポリマーケット(Polymarket)のベットでは、トランプ氏の当選確率は60%を超えている。 ゲリー・ゲンスラー(Gary Gensler)氏が率いる敵対的な証券取引委員会(SEC)のないアメリカが、ルールがより明確な場所にアメリカ企業を誘致してきた香港のような地域や国に懸念を抱かせるのではないかと疑問に思う人もいるかもしれない。 東アジアだけではない。今年初め、QCPはアブダビに拠点を開設。シット氏は、アブダビ規制当局の暗号資産に対するアプローチを支持しており、同国の規制当局は「暗号資産を資本市場の例外とはみなしていない」と説明し、代わりに「暗号資産を資本市場の一部」と捉えていると述べている。 それでも、高波はすべての船を持ち上げる。 「ビットコインは、トランプ氏が大統領に就任し、より友好的な政策が打ち出されれば、さらに基軸資産としての役割を強めるだろう」とシット氏は述べ、アメリカでの成長は世界的な機会を抑制するのではなく、むしろ促進する可能性が高いと主張した。 CoinDesk Indicesのデータによると、ビットコインは当記事執筆時点、1カ月前より19%上昇し、7万2000ドル以上で取引されており、過去最高値に迫る勢いだ。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:QCPキャピタルのダリウス・シット氏。(Chris Lam/CoinDesk)|原文:BlackRock's Entry Into Crypto Matters More Than U.S. Election, QCP Capital's Darius Sit Says
CoinDesk Japan 編集部