東大と京大を率いる元ギャングスター 日本アメフト界の名将らが語る“根性論の行方と国立大の戦い方”
冷たい雨が落ちる5月14日。京都大学と東京大学の定期戦「第65回双青戦」がアミノバイタルフィールドで行われました。 京大を率いるのは藤田智HC、対する東大の指揮を執るのは森清之HC。 ともに京大出身の同門対決は、Xリーグ時代は何度も顔を合わせていましたが、大学チームを率いての対戦は今回が初。そして、藤田HCの1学年下で同じクオーターバック(QB)だった"直属"の後輩である佐野徹氏(日本テレビ社長室)が先輩同士の戦いを見つめていました。 現役時代は京大でプレーした3人が、それぞれが立場を変えて一堂に会し、試合後には佐野氏が両指揮官へ自らインタビューを行いました。
■ともに日本代表HCの経験がある二人、同門から東大・京大のHCへ
Xリーグでライスボウルを5度制覇、アメリカンフットボール日本代表ヘッドコーチ(HC)も経験した藤田智氏が、甲子園ボウルを6度制覇した名門、京大ギャングスターズのHCに就任するというニュースが3月に報じられました。 京大時代はQBを務め、指導者になってから多くのタイトルを獲得した名将が、なぜ母校に戻って来たのか。藤田HCは現場復帰するつもりはなかったそうですが、「もう1回戻ってもいいのかなという気持ちになったからです。OBで帰ってきたという形になっていますが、仕事というつもりでやっています」と理由を説明。あくまでもプロのコーチとして、母校のHC就任を引き受けたそうです。 藤田HC は指導者として、Xリーグではアサヒ飲料チャレンジャーズで1度、富士通フロンティアーズで4度ライスボウルを制覇。社会人のトップチームで通用したメソッドを学生に対してもその経験を生かしたいが、まだ模索中のようです。 藤田「まだ自分でもわかっていなく、手探りの状態。社会人でやったことを、そのまま学生にやるのは無理。社会人でやったことの中にいくつかコンセプト的に京都大学の学生でも通用することはあると思います。どれくらいの時間がかかってどれくらい強くなるかまだ見えていないので、そこら辺の感触はまだないです」 一方、藤田HCの大学の先輩でもある東大の森HCは東大ウォリアーズを率いて今年で7年目。就任2年目の2018年に東大史上初のTOP8に昇格し、さあこれからという時の2020年に全世界が大打撃を受けた未曾有の危機に直面しました。 森「新型コロナウイルスの影響がとても大きかったです。勧誘もできない、練習もできない状況で、まったくアメフトを知らない素人から育てないといけない。僕らにとって、この3年間はものすごく痛かったです。秋シーズンは何とか試合をできたといっても、選手たちが一番成長する2年生と3年生の春シーズンにほとんどできなかったことはものすごく大きかった。20歳未満の大学生たちが精神的にも成熟していく時期です。アメフトの技術以上にフィールド外でのコミュニケーションが凄く大切だと改めて思い知らされました」 それでも、「今年を乗り切れば、コロナの負債を返せるという見通しがやっと立ってきた。これからだと思います」と上昇気流に乗る手ごたえを感じています。