東大と京大を率いる元ギャングスター 日本アメフト界の名将らが語る“根性論の行方と国立大の戦い方”
■約40年前は“根性論”全盛…現在は「根っこは意外に変わっていない」
藤田、森の両HCはともに日本代表HCまで上りつめた国内屈指の名将です。しかし、国立大は、推薦などで選手集めができる私立大と圧倒的な差が生まれてしまいます。それでも、森HCは、そんなハンデにもめげずに現有戦力をどう生かすか工夫をし、逆境をも楽しんでいます。 森「理想はありますが、現実主義でいかないと立ち行かないことが凄く多い。自分のやりたいことや理想は置いておいて、現実的に今の状況や環境のなかでどうしていくか。それとまったく矛盾するけど、当たり前にやったら私立大の名門校には勝てないので、現実路線でいきながらも、そこでとどまっていたらいつまで経っても勝てない。そこの相反する部分をどうしていくかが凄く難しい。難しいからこそ面白いと思います」 国立大という同じ条件下の藤田HCも、「条件が限られていて、その条件の中でどのようにやるかを求められているので、その辺りは参考にします」と先輩のやり方を倣っています。 藤田HCが京大に入学したのは1986年。今から40年近くも前で根性論が全盛の時代でした。アメフト部は今より厳しかっただろうと容易に想像がつきます。当時のギャングスターズを知る藤田HCの目に現在の京大生は、昔と比較してどのように映って見えるのでしょうか。 藤田「わからないですね。比べようがないというか、若い頃に感じていたことと今感じていることが違うので、比較は難しいです」 一方の森HCも、「やっぱり違いますよ」と言いながらも、「藤田コーチが言うように、一概には比較できない。表面はだいぶ変わったように見えるけど、根っこは意外に変わっていない気がします。そこを拠り所にしないと、なかなか自分の精神衛生上良くない気がします」と笑い、現在の学生も自分たちの時代とは根底が変わっていないことを願っています。