ダイエットで体重を気にし過ぎてはいけない「納得の理由」
肥満や肥満気味の人は健康リスクが大きいが、痩せすぎの人も要注意。いずれも健康のために気にしたいことの1つは筋肉をつけることだ。『回復人 体中の細胞が疲れにつよくなる』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。 【写真】快適な睡眠は「ふくらはぎ」が決める…!「夜のトイレ」と「こむらがえり」
筋肉が「代謝のカギ」である
体重の話をするとき、最も人の注目を集めるのはもちろん肥満と肥満気味に関する話題だ。しかし、痩せすぎや筋肉不足も、私たちの体とエネルギーに同じくらいよくない影響を与える。 32か国で実施された189件の研究データを集約した過去最大規模の研究によると、痩せすぎの人の死亡リスクは、体脂肪のつきすぎている人と同じくらいだったという。とくにBMIが20より少ないと、死亡リスクはBMIが30より多い人と同程度まで増えることがわかった。 この研究によれば、BMIが20以下に下がると死亡リスクは増加し、男性では体脂肪率15%、女性では体脂肪率25%の人と同程度になった。 誤解のないように言っておくと、痩せすぎの人の死亡リスクが上がるのは、筋肉量と体力、機能性が落ちることでケガや死亡の確率が増えるからで、体脂肪が少ないからではない。だから、健康的なアスリートや活動的な人の体脂肪が少なくても、問題ない。 筋肉は代謝を制御するカギであり、さまざまな慢性疾患の予防に欠かせない。だが、かなりの割合の人たちが「サルコペニア」という状態に陥っている。サルコペニアは筋肉量が減少して体力が落ち、身体機能が衰える状態だ。 アメリカでは50代以上の半分以上、中年の20~35%、若い成人でも10人に1人がサルコペニアに苦しんでいる。 体を動かし、健康な代謝を維持するには、筋肉が必要だ。筋肉組織の量が少ないと、体が必要とするエネルギーをミトコンドリアが十分に産生してくれないため、疲れやすくなり、1日を元気に過ごすのが難しくなる。 要するに、身体機能の衰えと筋肉量の減少は疲労と密接に結びついているため、疲労を和らげたければ筋肉量を増やせばいいということだ。