実はあなたも普段利用している? 「セミパブリックコース」ってどんなゴルフ場なの?
完全な“プライベートクラブ”は日本にはもう残っていない?
では、海外ではいまだに健在なメンバーとその紹介・同伴を受けたものしか入場が認められない“真のメンバーシップコース”は、今後日本には登場しないのでしょうか。飯島氏は以下のように話します。 「本来メンバーシップコースは、ビジターを積極的には受け入れないのがあるべき姿です。世間的にもプレミアム感や非日常感が求められる風潮が高まっているのも相まって、今後少しずつとはいえセミパブリックではないゴルフ場は増えてくると思います」 「前身のゴルフ場が閉鎖された後にまったく新しいゴルフ場として2021年に再スタートを切った千葉県の『ザ セイントナイン東京』は完全招待制を徹底していて、メンバーの紹介や同伴を受けた人も専用のアプリを持っていないと入ることができません。また、公式の情報発信もほとんど行われていないことから、“究極のプライベートクラブ”ともいわれています」 ほかにも、いわゆる関東七倶楽部や九大ゴルフ倶楽部と呼ばれるゴルフ場も、名門コースとしての威厳を保つため、原則としてプライベートコースの体制を維持しています。 今後、日本の各ゴルフ場が『完全なメンバーシップコースに原点回帰するのか』、それとも『セミパブリックのままでいるのか』のどちらを選ぶかは、サステナブルな運営を続けていくための一つの分岐点になるでしょう」 実は九大ゴルフ倶楽部の一つに数えられる兵庫県の「鳴尾ゴルフ倶楽部」も、バブル崩壊後に「ビジターのみの受け入れも認めて、セミパブリック化すべきかどうか」と議論された過去があります。 しかし、最終的には「鳴尾の今までの歴史とこれからを考えると、他のコースとの差別化を維持しなければならない」として、セミパブリック化は行わず、完全なるプライベートコースのままでいる決断が下されたそうです。 ある意味、多くのゴルフ場がセミパブリック化したことによって、ビギナーがより気軽にラウンドできるようになったといっても過言ではありません。しかし今後はゴルフ場の特別感やプレミア感を維持することを目的に、多くのゴルフ場がプライベート感をさらに押し出していくという方向性もあり得るかもしれません。
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