ヘッジファンドがソフトウエア株売却、AI人気で明暗-ゴールドマン
(ブルームバーグ): 人工知能(AI)ブームがテクノロジーセクター内で新たな負け組を生み出すのではないかとの懸念が高まる中、ヘッジファンドがソフトウエア株を手放している。
ゴールドマン・サックス・グループの5月31日終了週のプライム・ブローカレッジ・デスク・リポートによると、この週にヘッジファンドは情報技術関連株を11週間で最も多く売却、その60%強をソフトウエア株が占めた。ゴールドマンによると、ヘッジファンドのソフトウエアへのネットエクスポージャーはここ5年余りで最低となった。
ヘッジファンド調査会社ピボタルパスのジョン・カプリス最高経営責任者(CEO)は「当社が話を聞いた多くのファンドマネジャーはAI・半導体関連銘柄に投資するためソフトウエア・アズ・ア・サービス(SaaS)銘柄から資金を引き揚げている。その一因はAIの処理能力に対する強い関心とSaaS契約件数の鈍化だ」と述べた。
ヘッジファンドは超大型テクノロジー株全般へのエクスポージャーを縮小しているものの、AI拡大の恩恵を受ける企業には投資している。ゴールドマンによると、先週、テクノロジーセクターで唯一、ヘッジファンドが買い越したのは半導体・半導体製造装置株で、ヘッジファンドの同分野への個別銘柄エクスポージャーはここ5年余りで最大となった。
S&P500情報技術指数は今年これまでに17%上昇しているが、分野ごとのパフォーマンスには大きなばらつきがある。S&P半導体・半導体製造装置指数の上昇率が57%なのに対し、S&Pソフトウエア・サービス指数は2.2%にとどまっている。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のシニアテクノロジー担当アナリスト、アヌラグ・ラナ氏は「マイクロソフトは別にして、ソフトウエア大手の大半は近い将来にAIの恩恵を受けることはないだろう」と指摘した。
DAデービッドソンのアナリストは、AI関連のソフトウエア銘柄は「幻滅期」を迎えるとの見通しを示した。同業界はマクロ経済環境の悪化や地政学的リスクにも苦しんでおり、各社はアップグレード計画の延期を促されている。