リニア開業までに魅力ある街へ ── 名古屋・栄エリアの再生に向けた動き
ヨーロッパのクリスマスマーケットが登場する冬のイベント「マルシェ・ド・ノエル・プレミアムin 名古屋」が12日、愛知県名古屋市栄の「名古屋テレビ塔」でスタートした。同イベントは名古屋市が進める「久屋大通再生社会実験」の一環で、11月中旬よりテレビ塔エリア・北エリアで行われてきた「社会実験関連イベント」の年内最後のイベント。良好な地域環境を維持・向上するためのエリアマネジメントをはじめ、2027年のリニア中央新幹線開業に向けた“新たなまちづくり”が、名古屋市の中心部である栄エリアで進められている。
リニア中央新幹線開業までに栄地区の魅力向上を目指す
名古屋市では昨年6月、リニア中央新幹線の開業が予定される2027年までに、名古屋市都心部である栄地区の魅力向上を目的とした「栄地区グランドビジョン―さかえ魅力向上方針―」を作成。栄地区の各エリアで市や民間企業、地元民による“新たなまちづくり”が進められる中「久屋大通再生社会実験」が今年秋に本格的に始まった。 市や同実行委員はこれまでに、関連イベント開催のほか、オープンカフェ設置エリアの拡大、花壇づくりなど「良好な地域環境の維持・向上」を目的とするエリアマネジメントを実施。最近では11月20日から24日まで、久屋大通公園北側の東西の道路を車両通行止めにし、歩行者天国とする大規模な社会実験も行われた。 「久屋大通再生社会実験」の関連イベントとして最初に開催されたのが、米・オレゴン州の都市であるポートランドをテーマに開かれた「NORTH HISAYA FESTIVAL」。ポートランドは「全米の住みたい街ランキング」で常に上位であり、まちの魅力向上を目指す栄地区にとっては“お手本”にしたい都市。イベント期間中は延べ2万人強の市民が開催地である久屋北エリアに訪れ、ショッピングやライブ、ワークショップなどを楽しんだ。 同実験を進める名古屋市住宅都市局都心まちづくり課の担当者は「このエリアで開催するイベントとしては、恐らく過去に例の無い大規模なものとなりました。9日間のイベント期間中はリピーターの方も多く見られ、イベント自体の認知度が高まるにつれ、確実に来場者は増えていくように感じました」と、イベントを振り返る。イベント開催につき周辺道路の交通規制も行ったが、それに対する苦情もほとんど寄せられなかったという。 その後、同エリアで3つのイベントが開催され、いずれも多くの市民が集い賑わいを見せた。毎週末のように開催されるイベントに、市民からも多くの問い合わせがあったという。「来場者からの意見を募集したところ、どのイベントでも概ね良好な反応が寄せられました。中には、『継続して実施して欲しい』という声も」と話し、イベントの実施により「栄地区の魅力向上」の効果を実感することができたと説明。同日から開催の「マルシェ・ド・ノエル・プレミアムin 名古屋」で、本年の社会実験は締めくくられる。