67歳ランガーの優勝にみる、シニアのためのスイング安定のコツとは
2024年のシニアツアーの振り返りとともに、スティーブン・アルカーのように左サイドを適切に使って方向性を改善させるためのドリルを紹介する。吉田洋一郎コーチによる最新ゴルフレッスン番外編。 【動画で見る】67歳ランガーの優勝にみる、シニアのためのスイング安定のコツとは
年間王者もかすんだランガーの47回目の優勝
50歳以上の男子選手が参加する米シニアツアーのPGAツアーチャンピオンズ。 2024年11月10日に最終戦のチャールズ・シュワブ・カップ選手権を終え、53歳のスティーブン・アルカー(ニュージーランド)が年間王者のタイトルを獲得した。シーズン最終戦の優勝は逃して2位タイとなったものの、大会前に年間王者争いでトップに立っていたアーニー・エルス(南アフリカ)を逆転し、アルカーは2度目の栄誉を手にしたのだ。 2023年の米シニアツアーはスティーブ・ストリッカーの独走状態だったが、2024年はエルスにアルカー、スティーブン・エイメス(カナダ)、パドレイ・ハリントン(アイルランド)らポイントランキング6位までは優勝すれば年間王者を手にできるという混戦状態。 惜しくも最終戦は1打差で優勝を逃したが、アルカーは年間を通して優勝1回、2位が5回と安定した成績を残した。 最後に逆転を喫したエルスは、長年の課題だったパッティングが改善し、シニアメジャーを初めて制したシーズンだっただけに悔しい最終戦となった。 2024年のシーズン最終戦は年間王者よりも、優勝したランガーにスポットライトが当たった。 67歳でエイジシュート(自分の年齢以下の打数でホールアウトすること)を連発し、18年連続勝利を達成、47勝目というシニアツアー最多勝利記録を更新。ランガーの鉄人ぶりにアルカーの年間王者の輝きもかすんでしまったのだ。 しかし、さすがのランガーも2024年は老いを感じさせるシーズンだった。2月の練習中にアキレス腱を断絶して3ヵ月半の休養を余儀なくされ、その影響で思うような結果が出せずにいた。 7月以降はアッセンション・チャリティ・クラシックでプレーオフの末に2位タイに終わった試合を含め、出場5試合連続トップ10入りと調子を取り戻したかのように見えた。 だが、ランガー本人は、今まで最終戦で良いプレーをしたことがないことから、最終戦の練習日に長年キャディーを務めるテリー・ホルトに「今年は勝つことができなかった。もうあと1試合しかない」とこぼしていたのだという。 しかし、最終戦は2日目に64、3日目に67と2ラウンド連続でエイジシュートを達成。最終日は最終ホール18番で約10mの下りのスライスラインを沈めてバーディ。1打差の18アンダーで後続を振り切った。最終日も66をマークし、3日連続のエイジシュートを達成しての勝利となったのだ。 もし、最後のバーディパットが入っていなければアルカーとグリーンに並ばれ、決着はプレーオフに持ち込まれるところだった。 年齢や体力を考えると不利な状況に追い込まれていたかもしれないが、こうした勝負どころで結果を残すのも百戦錬磨の貫録といったところだろう。