白いおむつ「はくのは抵抗がある」声に… カラフル・スポーティー、デザイン一新の挑戦
試行錯誤
実際に平林さん自身が白いおむつを身につけた時、「大人が赤ちゃんの格好をしているようでちぐはぐな違和感があった」といいます。 「白くてもこもこしているのがおしゃれじゃなく見せているのかな」と考えた平林さん。 そこで、「今の下着と変わらないおむつならばどうだろう」と考え、白いおむつを黒く染めてみたところ、違和感は減ったようです。 しかし、おむつを染めることは「めちゃめちゃ難しかった」と話します。 そもそも衛生用品であるおむつ。健康管理のために尿の色がわかるよう、おむつの内側は白でなければなりません。 物理的にもハードルがあり、おむつには吸水性ポリマーがあるため、鍋やバケツのなかで染料を溶かした水に漬ける染め方はできません。 そこで、おむつの外側だけ刷毛で色を付け、乾かし、色が薄いところに再び色を付け……と、繰り返し染めていきました。1つのおむつを染めるのに3日ほどかかったといいます。
来年「おむつコレクション」 若い世代にこそ見てほしい
なぜそこまでしておむつを染めていたのでしょうか。平林さんは「企業に試作品として見てほしかった。おむつを作ってきた企業を巻き込めたら、店に並ぶ商品も一気に変わるからです」と答えます。 「おむつの外側は不織布。不織布はつくる段階で染料を入れれば比較的簡単に色をつけられます。きっと日常使いができるカラーのおむつはすぐに当たり前になると思いますし、なってほしいです」 平林さんは2025年、大阪・関西万博で自身がデザインを提案した「おむつ」を身につけたモデルたちによる2000人規模のファッションショーを行う予定です。 披露するおむつは、平林さんだけでなく、排泄ケアやおむつメーカー、医療デザインに詳しい理学療法士や医師らの知識も詰め込みました。 色のほかに、丈を変えたり、素材を繰り返し使える布にしたり、伝統工芸とタッグを組んだり……。また、ショートパンツやハーフパンツのように下着とボトムスの役割を兼ねたおむつも準備しているといいます。 「車いすだから映える服のように、普段おむつを使う必要のないひとも身につけたくなる、NextUD(ネクスト・ユニバーサルデザイン))なものを目指しています」 万博で登場するモデルも募集しています。 「いずれ自分も身につけるかもしれないファッションの選択肢として、特に若い世代に見てほしいです」と話しています。