【89歳の美容家・小林照子さんの人生、そして贈る言葉⑪】子どもの人生に干渉しない。今は娘とは親友です
娘と私は親子という親友です
「こうして娘は日本で、一人で子育てをすることになったのです。最初は輸入業、翻訳や企業の通訳などの仕事をしていたのですが、その後、私とともに『美・ファイン研究所』を設立。娘も美容の世界に入ってきました。 その頃、私と夫は籍をそのままに別居をしていたので、娘と孫息子との3人生活が始まりました。私にとっては初めての男の子。忙しいながらも、驚きや楽しみに満ちた日々でした。育児に参加できたことに、とても感謝しています。 『思い切ってブラジルに嫁に出したら、孫を連れて帰って来た!』と、よく友達に笑いながら話したものです(笑)。 娘とブラジル人の元夫は決して仲が悪いわけではなく、子どもの成長を報告するなど交流を続け、今でも親友として家族ぐるみでお付き合いをしています。
私が80歳になったときに、娘と孫息子とともにブラジルに行ったことがあります。娘の元夫に27歳になった子どもを会わせようという試みです。この際も先方の一族の方たちを交えて、とても楽しい時間を過ごしました。 ちなみに孫息子は私のことを『ゴスちゃん』と呼びます。ポルトガル語に『ゴストーゾ/ザ』という言葉があります。『おいしい』とか『気持ちがいい』『魅力的だ』といった意味なのですが、私が娘の婚約式と結婚式でブラジルに滞在中、皆がよく使っていたので覚えてしまった数少ないポルトガル語でした。それで孫息子に私のことを『おばあちゃん』と呼ばせずに、代わりにゴストーザと呼ばせたのです。 娘の元夫は、成長した我が子をできることならブラジルに呼び寄せたいと思っていたようです。しかし、本人は大好きな日本を選びました。その子は現在も日本にいて、結婚して子どもが生まれています。娘にとっては孫、私にとってはひ孫にあたります。 今は娘と二人で暮らしていますが、私と娘は『親子という親友』です。干渉することなく、それぞれに自分の人生を生きています。 私は常に『10年先を見据えて行動する』ことを信念とし、実践してきました。私の10年後…実はそんなことを考えて、最近行動を起こしたことがあります。それは次回にお話しします」