客が減るディズニーリゾート…でも売り上げは過去最高。新エリアだけじゃない「強さ」徹底分析
ポイントは「客単価の伸び」だった
では、次にこの上昇し続けている顧客単価の内訳はどうなっているのか見てみましょう。 図表4は、単価の内訳を時系列で示したものです。 2014年3月期と2024年3月期を比較すると、全体では1万1076円から1万6644円と1.5倍になっていますが、その内訳としてはチケット代が1.8倍、商品販売が1.2倍、そして飲食販売が1.4倍となっています。 一番構成要素として大きくなっているチケット代については、入場料金の値上げに加えて、2022年から始まった有料ファストパスとも言われている「ディズニー・プレミアアクセス」の存在も大きいです。「ディズニー・プレミアアクセス」は1500円~2500円を支払うことで、あらかじめ決められた時間に短い待ち時間でアトラクションに乗ったり、ショーを見られたりできるサービスです。 ここでさらに注目したい点は、チケット代が上がるだけでなく、ディズニーランドやディズニーシー内での商品販売や飲食販売も増えているということです。 図表2で見たように、客数自体は減少しているものの、その結果、混雑が減り並ぶ時間が短くなりました。そのため空いた時間で商品を買ったり、飲食をしたりする時間が増えたといえます。 つまりオリエンタルランドは、客数を増やさなくても顧客単価を上げることで売上高を増やすことに成功したと言えます。
入園者数は抑え「満足度」を重視
なお、売上高をセグメント別に分けると図表5にある通り、オリエンタルランドの売上高の8割以上はテーマパーク事業となっています。また15%前後で推移をしているホテル事業も来園者数に比例していると考えられます。 「その他事業」の内訳は舞浜とディズニーリゾートを繋ぐモノレール事業や、舞浜駅周辺のショッピングモールであるイクスピアリ事業などから構成されていますが、これらも来園者数に比例しているといえます。 すなわちオリエンタルランドの売上高というのは、舞浜の東京ディズニーリゾートへの来場者数に規定されるビジネスモデルということです。にもかかわらず、来園者数は増やさずに、一人当たりの顧客単価を高める方向にシフトすることで、オリエンタルランドは売上高を増やすことに成功をしたのです。 これはコロナの状況を踏まえて柔軟に経営方針を変えたからできたことだといえます。そして、この経営方針は今後も変わらないと予想されます。 実際、2023年3月期の決算説明会において、「一日あたりの入園者数上限をコロナ流行前には戻さないとのことだが、パーク内での需要分散を図ることで年間の入園者数として 3000 万人レベルに戻すことは可能なのか」という質問に対して、オリエンタルランドは次のように回答しています。 「一日あたりの入園者数の上限については、コロナ前の非常に高いレベルに戻す考えは、今のところ持っていない。 やはりコロナ前において、混雑感を感じる日が一定の日数あった。満足度や再来園意向はあまり下がらないが、混雑感を感じていたという課題があった。 コロナを受けて、入園者数を一定に抑え、ゲストの満足度を上げて、パークの環境を良くしながら、一方で単価も上げていこうという考え方に徐々に変えている」(オリエンタルランド担当者)