1日たった30秒でできる「便秘解消法」専門医が30年間の研究の末に導き出した腸内環境改善の“結論”
1995年に、順天堂大学医学部附属順天堂医院に日本初の便秘外来を開設し、以来、便秘などの悩みを抱える2万人以上の患者さんを診てきた小林弘幸医師。小林氏は、「加齢とともに増える便秘や下痢などのお腹のトラブル。薬に頼らず改善したいなら、毎朝30秒の腸活が本当におすすめ」と語る。また生活習慣病や心血管疾患などのリスクを考えると、1日でも早く腸活を習慣にした方がいいという。 ※本稿は小林氏の著書『腸の名医が30年かけてたどり着いたお腹が弱い人のための30秒腸活』から、一部を抜粋・再構築してお届けします。
■なぜ年齢を重ねると便秘になりやすいのか? 便秘や下痢など、お腹のトラブルが起こる大きな原因の1つは、自律神経の乱れです。 腸には輪状筋と縦走筋という2つの筋肉があり、それらが収縮を繰り返すことで、消化された食べものや便などが腸内を移動します。この腸の動きをぜん動運動といい、ぜん動運動をコントロールしているのが自律神経です。 腸のぜん動運動は、副交感神経が優位なときに活発になるため、ストレスや生活習慣、加齢などが原因で自律神経が乱れ、交感神経優位な状態が続くと、腸の内容物の移動速度が落ち、水分が吸収されすぎて便が硬くなり、便秘が起こりやすくなります。
逆に、副交感神経優位な状態が続くと、腸の内容物の移動速度が速くなり、消化物中の水分が吸収されづらくなって便がやわらかくなり、下痢が起こりやすくなります。 ほかに、腸内環境の悪化も、お腹のトラブルの大きな原因となります。 腸内にはおびただしい数の腸内細菌がいますが、ストレスや食生活の乱れなどが原因で腸内細菌のバランスが悪化し、有害菌が優勢になると、有害菌の出す有害な物質によって腸のぜん動運動が鈍くなり、便秘になりやすくなります。
あるいは逆に、有害菌の出す有害物質を早く排出しようとして、ぜん動運動が活発になりすぎ、下痢が起こりやすくなります。 年齢を重ねると、咀嚼力や消化吸収能力の低下、運動量の低下などにより食が細くなって栄養が偏りがちになり、有用菌にとって必要な食物繊維や乳酸菌、ビフィズス菌、オリゴ糖などを摂りづらくなるため、腸内環境が乱れやすくなります。 また、水分摂取量が減ったり、水分を体内に保持する力が低下したりするため、どうしても便が硬くなり、排出されにくくなってしまいます。さらに、副交感神経の働きが弱くなって腸のぜん動運動が過剰に抑制され、排便に必要な感覚器官の機能や筋力も低下します。