高性能でライダーに優しい、マルチパーパスモデル「XLディグリー」
セルフスターター付きの水冷DOHCエンジンを搭載し、高性能と扱いやすさを両立されたオフロードバイクであるホンダXLディグリー。このバイクはライバルであるヤマハ セローと共にオフロードバイクの間口を広げたと言える存在だ。 【画像】XLディグリーのディテールをギャラリーで見る(22枚)
オフロードバイクの可能性を広げたマルチパーパスモデル
林道などの未舗装路をを走るために作られたオフロードバイクは、「ハード」で「マニアック」な乗り物だった。そのイメージを覆したのはヤマハ セローであり、扱いやすさや足つき性の良さで多くの女性ライダーに愛用された。もちろんその扱いやすさは本来のステージであるオフロードでも遺憾なく発揮され、ベテランのオフロード乗りたちの間でも長く愛された。このセローの人気に拍車をかけたのは、1989年のモデルチェンジで装備されたセルフスターターで、このモデルは当時「セルオ」などという呼び方もされていた。そんなセローの独壇場であったマルチパーパスオフローダーカテゴリーに、ホンダが投入したのがXLディグリーだ。 XLディグリーの特徴と言えるのが、その「扱いやすさと高性能の両立」だ。セルフスーターの装備や足付き性の良さは女性ライダーはもちろん、ベテランからの支持も得るに至った。エンジンは最高出力25PSと4ストロークのオフロードバイクとしてはハイパフォーマンスと言えるもので、高速道路での走行にもライバル車よりも余裕があった。
自由度が高く、足付き性の良いポジション
ほぼ直立となるオフロードバイクらい上半身のポジションは、自由度の高さからあらゆるシーンに合わせたライディングポジションを取れる。モデルは170cm/65kgの体格だが、フロント21インチ、リア18インチのホイールサイズながら、790mmという低シート高によって足つきは非常に良好。角が落とされた形状のシートや、よく動くサスペンションも足付き性を良くしている要因だ。
AX-1譲りの水冷DOHCエンジン
1991年に登場したXLディグリーは、マルチパーパスバイクAX-1譲りの水冷DOHCエンジンを採用していた。排気量はセローよりも余裕のある250ccで、25ps/8,000rpm、2.5kg-m/6,500rpmという高性能を発揮し、セルフスターターも装備されていた。さらにこのエンジンのトピックとして、ワークスレーサーNS500譲りのNSメッキシリンダーが採用されたことであり、当時のホンダの本気度が感じられる。AX-1のエンジンをベースにしているとはいえ、バルブ周りの設定変更やCVキャブレターの採用などで、実用域でより扱いやすい特性を持たせている。