年金は女子のほうが「180万円」得って本当? 特別支給の老齢厚生年金の「受給開始年齢」に男女差があるのはなぜ? 背景についても解説
日本の公的年金には、特別支給の老齢厚生年金というものがあり、男性と女性で支給開始年齢が違います。なぜこのようになっているのでしょうか? この記事では、特別支給の老齢厚生年金とは何なのか、そして、なぜ支給開始年齢に男女差ができたのかについて説明します。さらに、受給開始が早いと、どのくらい得なのかも見ていきましょう。
特別支給の老齢厚生年金とは
老齢厚生年金の支給開始年齢は、男女とも65歳です。しかし次の全てに当てはまる人は、65歳になる前に「特別支給の老齢厚生年金」が受給できます。 ●1961年4月1日以前に生まれた男性、または1966年4月1日以前に生まれた女性 ●厚生年金保険等に1年以上加入したことがある ●老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たしている ■受給開始年齢が徐々に引き上げられたのは 老齢厚生年金は、以前は60歳から受給できました。しかし1994年と2000年の法改正で、支給開始年齢が65歳に引き上げられました。とは言え、老後の生活を支える大切な年金ですから、いきなり5年も支給を遅らせるわけにはいきません。そこで図表1のように、時間をかけて段階的に、受給開始年齢を引き上げていくことになったのです。 図表1
日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金 特別支給の老齢厚生年金は、定額部分と報酬比例部分に分かれています。定額部分は既に支給開始年齢の引き上げが終わっていますが、報酬比例部分の方は、現在もまだ引き上げの途中です。 次に、男女別の支給開始年齢を見てみましょう。図表2が男性、図表3が女性です。 図表2
日本年金機構 いっしょに検証!公的年金~年金のしくみと将来 図表3
日本年金機構 いっしょに検証!公的年金~年金のしくみと将来 2つの表を見ると、男性と女性では、支給開始年齢に「5年のずれ」があることが分かります。なぜか女性の方が早く年金がもらえるのです。どうしてこの状況が生じたのでしょうか。