レカロ(RECARO)が破産申請 従業員には知らされず 自動車用シートの名門
航空機・ゲーム事業には影響なし
自動車用シートを製造するドイツのレカロ・オートモーティブ(Recaro Automotive)社が破産を申請した。 【写真】欧州を代表する「ホットハッチ」最新モデル【フォルクスワーゲン・ゴルフGTIクラブスポーツを写真で見る】 (20枚) BMW、フォード、フォルクスワーゲンなどの大手ブランドに製品を供給している同社は7月29、エスリンゲン地方裁判所に自己破産の申請を承認された。 地元メディアの報道によると、レカロの従業員は破産申請について知らされていなかったという。 労働組合のIGメタルは、キルヒハイム・ウンター・テックの同社工場で働く215人の従業員に対する破産の影響は現時点では不明だとし、レカロの経営陣に対して透明性を求めている。 レカロ・オートモーティブは2020年、米国の大手シートメーカーであるアディエント(Adient)社から民間投資会社レイヴン・アクイジションズ(Raven Acquisitions)に売却されたばかり。 今回の破産申請は、レカロの航空機用シート、ゲーミングチェア、チャイルドシート事業には影響しない。 航空機事業とゲーム事業は、レカロの母体であるレカロ・ホールディング(Recaro Holding)が所有している。 レカロは自動車業界で最もよく知られたサプライヤーの1つで、20世紀初頭から活動している。 同社は1906年に馬車製造業のシュトゥットガルター・カロッセリー・ウント・ラドファブリク(Stuttgarter Carosserie und Radfabrik)として設立され、1960年代初頭までポルシェやフォルクスワーゲンのボディを製造していた。その後、シート製造に軸足を移し、1965年にポルシェ911用に初のスポーツシートを発表した。 以来、レカロのシートは高性能モデルの象徴となり、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIクラブスポーツ、アストン マーティン・ヴァルキリー、フォード・フィエスタSTなど、さまざまなクルマに採用されている。スポーツカーに限らず、SUVなどでもよく装備される。 また、アフターマーケット用シートも提供しており、FIA公認のレース用バケットシートや、急成長中のレストア分野をターゲットにしたクラシックデザインなど、さまざまな製品ラインナップを取り揃えている。
執筆 AUTOCAR JAPAN編集部