年金受給者の約6割が「年金だけで100%生活できていない」現状。年金暮らし世帯のリアル「公的年金・貯蓄額・1ヵ月の生活費」をチェック
【年金暮らし】無職夫婦世帯の「1ヶ月あたりの生活費」はいくら?
総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支は下記のとおりです。 ・実収入:24万4580円(うち社会保障給付:21万8441円) ・非消費支出:3万1538円 ・消費支出:25万959円 1ヶ月の家計収支:▲3万7916円 一般的な夫婦世帯の家計収支は、毎月約4万円の赤字になるとされています。 ただし、これはあくまで平均値であるため、「我が家の家計と比較してどのくらい違うのか」を具体的に確認することが重要です。 次に、消費支出の内訳を詳しく見ていきましょう。 【消費支出の内訳】 ・食費:7万2930円 ・住居:1万6827円 ・光熱・水道:2万2422円 ・家具・家事用品:1万477円 ・被服及び履物:5159円 ・保険医療:1万6879円 ・交通・通信:3万729円 ・教育:5円 ・教養娯楽:2万4690円 ・その他の消費支出:5万839円 たとえば、食費が「高い」と感じた方もいれば、賃貸住まいの方は「住居費が低い」と驚いた方もいるかもしれません。 これは、極端に高い人や低い人を含めた平均値で算出されているため、必ずしも実態を正確に反映しているとは限りません。 上記を参考に、「我が家の場合」で差し引きしながら老後の収支をシミュレーションしてみることが大切です。 では最後に、現在のシニア世代の貯蓄額についても確認していきます。
【70歳代】二人以上世帯の平均貯蓄額はいくら?
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)は下記のとおりです。 ※金融資産保有額には預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。 ●【70歳代・二人以上世帯】平均貯蓄額(平均と中央値) ・平均:1757万円 ・中央値:700万円 ●【70歳代・二人以上世帯】貯蓄額一覧表(金融資産を保有していない世帯を含む) ・金融資産非保有:19.2% ・100万円未満:5.6% ・100~200万円未満:5.1% ・200~300万円未満:4.3% ・300~400万円未満:4.7% ・400~500万円未満:2.5% ・500~700万円未満:6.2% ・700~1000万円未満:5.8% ・1000~1500万円未満:10.2% ・1500~2000万円未満:6.6% ・2000~3000万円未満:7.4% ・3000万円以上:19.7% 平均貯蓄額は1757万円で、「老後2000万円問題」をもう少しでクリアできる水準に見えます。 しかし、中央値は700万円にとどまり、「貯蓄ゼロ」と「貯蓄3000万円以上」がそれぞれ約2割を占めていることから、貯蓄額が二極化傾向となっている実態が明らかです。 「年金が十分受け取れるか」「家計の収支は健全か」そして「貯蓄は十分か」これらを整理することが、現役時代から取り組むべき「老後対策」の第一歩となるでしょう。