大山悠輔・甲斐拓也・高橋周平…年俸に比してもっともお得な選手は誰か?「FA候補選手のコストパフォーマンス」を検証
阪神・大山のヒット1本あたりの年俸は224万円
野手では阪神の主砲・大山悠輔(年俸2億8000万円、29)、首位打者と最多安打のタイトルを持つDeNAの佐野恵太(同1億5500万円、29)、強打の三塁手である中日の高橋周平(同6750万円、30)が争奪戦になると見られていたが、佐野はFA権を行使せず残留を表明した。 昨年は主砲として阪神を日本一に導いた大山。今季は130試合に出場し、打率.259、14本塁打、68打点に終わったが、得点圏打率は.354でリーグ2位とチャンスに結果を出した。1安打あたりの年俸は224.0万円(ワースト126位)だった。 球界屈指のスラッガーといわれるDeNAの佐野恵太の1安打あたりの年俸は108.4万円(同194位)。大山より年俸が1億2500万円も低いため1安打あたりの年俸には100万円以上の違いがあった。中日の高橋周平は佐野の半分の年俸だが、1安打あたりの年俸は150万円(同164位)。佐野のほうがコスパは良かった計算になる。 「各球団の4番打者を見ていくと、コスパが悪くなるのはFAで移籍したオリックスの森友哉(ワースト80位、29)、楽天の浅村栄斗(同70位、34)、ソフトバンクの山川穂高(同129位、32)など。 一方、中日の細川成也(同282位、26)はDeNAでは結果を出せず現役ドラフトで移籍したこともあり、昨年は年俸990万円でチーム最多の24本塁打とコスパ抜群だった。今年は年俸4500万円に上がったが、それでも12球団の4番では最もコスパがいい選手だった。巨額な資金が動くFAより、現役ドラフトがもっと見直されてもいいかもしれません」(広尾氏)
各球団の財政事情が投影されるFA戦線
投手では今季7勝2敗でソフトバンクの先発ローテを担う石川柊太(年俸1億2000万円、32)がFA権行使、楽天の救援投手として今季49登板2勝2敗26Hの酒居知史(同5600万円、31)が残留を表明した。投手は1イニングあたりの年俸でコスパを算出したが、石川は189.5万円(ワースト125位)、酒居は120.9万円(同163位)となっている。 「登板1イニングあたりの年俸で見ていくと、先発投手のほうがコスパは良い傾向になり、救援投手は悪くなる。なので救援投手の年俸がFA移籍で上がればコスパは悪くなりますが、勝ちパターンの救援投手は今の野球では不可欠という要素もある。 球団が選手の価値を計る際にコスパが重要な一要素であるのは間違いないが、一方で投打ともコスパが悪くても活躍してチームを引っ張ってほしい選手はいる。金満球団と言われる巨人では菅野智之(35)がそうでしょう。1イニングあたり255.3万円(同96位)というコスパでしたが、それくらい払ってもいいと思われている選手でしょう。ただ、他の球団では主力でも1イニング100万円以下で抑えてほしいというところもある」(広尾氏) 各球団の財政事情がわかるFA戦線。コスパが多少悪いように感じられても、選手を獲りに行く球団はどこになるか。