世耕氏 保守対決制す くら替え、無所属で初当選、衆院選和歌山2区
第50回衆院選が27日、投開票された。和歌山2区では、参院議員からくら替え出馬した無所属新顔の世耕弘成氏(61)が初当選。自民派閥の政治資金裏金事件の処分を受け離党して臨んだ選挙で、自民新顔の二階伸康氏(46)との保守対決を制した。投票率は62・71%だった。1区は自民新顔の山本大地氏(33)が初当選した。 【保守対決を制した世耕弘成氏の動画はこちら】 2区は区割り変更で、旧3区に旧2区の一部が統合。いずれも新顔の5氏が立候補した。旧3区は当選13回を重ねた二階俊博・自民元幹事長(85)の地盤。裏金事件の責任を取る形で退いた俊博氏の三男で秘書だった伸康氏が「王国」の後継を目指したが、知名度で勝る世耕氏が圧倒した。 自民に逆風が吹く中、世耕氏は演説で裏金問題を最初に謝罪した上で、「離党して裸一貫からの出直し」と、党の支援を受けて組織戦を繰り広げる二階氏との違いをアピールした。 参院当選5回、安倍晋三元首相の側近として官房副長官や経済産業相を歴任した実績を強調。「政権の中枢を担ってきた即戦力を和歌山のために生かしてほしい」と訴えた。 安倍元首相とのつながりにもたびたび触れた。形見分けとされる靴は、安倍氏が第1次政権退陣後に復活を期して地元・山口を歩いた時のものだとし、裏金事件から再起を図る自身と重ねて見せた。 また「比例は公明」と繰り返し発信。自民と連立を組む公明だが、2区は自主投票。「公明票」を巧みに取り込んだ。 2区は27市町村にまたがり、県面積の9割を占める。しかし、参院選は全県が選挙区で、世耕氏は2区の戦いを苦にしなかった。参院時代に各地で10~15人程度のミニ集会を重ねており、根強い支持が浸透しているのも強みとなった。 一方で「世襲」の二階氏陣営は、旧2区を戦うのが初めて。知名度不足を補おうと、各種団体に協力を求め、集会には自治体首長や地方議員が並んだ。石破茂首相ら党幹部も相次いで来援して「中央とのパイプ」もアピールしたが、支持を伸ばせなかった。肝心の旧3区も固めきれなかった。 保守対決の間隙(かんげき)を突きたかった野党勢力だが、立憲の新古祐子氏(52)と共産の楠本文郎氏(70)、諸派の高橋秀彰氏(42)は支持を拡大しきれなかった。
紀伊民報