【特集】2025年は“カスハラ防止条例元年” 氏名公表で制裁科す市も 同姓同名対策で住所も公表?
「これは最終手段なんです。この点を強調して報道してもらえると…」 2024年12月上旬、やや困惑した表情を浮かべていたのは、三重県桑名市の職員。 その理由は、市が制定に向けて準備を進めていた「カスタマーハラスメント防止条例」にありました。
社会問題となっているカスタマーハラスメント=カスハラ。全国の自治体では労働者を守るべく、「カスハラ防止条例」を制定する動きが広がっています。 東京都が去年10月に、北海道が去年11月に相次いで条例を制定。いずれも今年4月に施行予定で、まさに今年は“カスハラ防止条例元年”なのです。
そうした中、全国から注目を集めるカスハラ防止条例を制定したのが桑名市。 東京都などが、罰則のない「理念条例」となっているのに対し、桑名市は、悪質なカスハラを繰り返した場合、氏名を公表するという制裁措置を盛り込んだのです。 市によると、このような制裁措置が規定されたカスハラ防止条例は、全国初。 氏名の公表という踏み込んだ措置に対して、市には、否定的な意見も寄せられたといいます。 桑名市 商工課 担当者:「氏名の公表は抑止力にすることが目的。罰金なども検討したが法律との関係で難しく、実効性のある条例にするためギリギリの判断だった」 市の算段では、実際に氏名の公表に至るケースは少なく、抑止力にすることが主な目的だと強調します。 ただ、他に類を見ない氏名公表という制裁措置に、全国から注目が集まっています。 どんな人が、どんな行為をしたら、どのような形で氏名が公表されるのでしょうか。
カスハラに該当するか否かを判断するのが、「カスハラ対策委員会」。弁護士や学識経験者などで作る諮問機関です。市の窓口で事業者からの相談を受け付け、カスハラ調査に乗り出します。 ①事業者が市の窓口に相談②市がカスハラ対策委員会に諮問③カスハラ対策委員会が行為者などに聞き取り調査し、カスハラに該当するか市に報告④カスハラ認定された場合、市が匿名で概要を公表した上で、行為者に警告