【特集】2025年は“カスハラ防止条例元年” 氏名公表で制裁科す市も 同姓同名対策で住所も公表?
一度目のカスハラ認定は、いわばイエローカード。この時は、カスハラに認定されても実名が公表されることはなく、匿名で行為の概要が公表されます。 しかし、警告に従わず、再びカスハラをすると…
⑤市が行為者から意見を聞き取り⑥市がカスハラ対策委員会から意見を聞き取り⑦市が行為者の氏名を公表 二度目のカスハラにはレッドカード。市が、行為者の言い分とカスハラ対策委員会の意見を聞いた上で、氏名を公表することになります。 先月(去年12月)開かれた議会では、公表手法などに質問が集中。主なものをまとめました。 Q.同姓同名の人への対策はA.氏名のほか、年代、大まかな住所を公表する(例)氏名:桑名太郎 年代:50代 住所:桑名市中央町 Q.公表期間はA.市のホームページなどで1か月程度公開する Q.未成年がカスハラをした場合はA.カスハラの調査・認定はするものの、実名は公表しない Q.そもそもカスハラの定義はA.社会通念上不相当で、就業環境が害される恐れがある行為など 市は、今後制定する「規則」で具体的な手続きなどを定めるとしています。 議会での審議を経て、徐々にその輪郭が見え始めた制裁措置。ただ、対策委員会の構成や、一度警告を受けた人が別の店でカスハラ行為をした場合の対応など、「検討中」としている点は多く残っています。
そのため、一部の議員からは氏名を公表することへの懸念が示されました。条例案への反対討論をしたひとり、柴田理恵議員は…。 桑名市議会・柴田理恵議員:「条例の制定自体は賛成。でも、規則で定めることが多い。今回の進め方にはちょっと待った」 議員になる前は大手百貨店に勤務し、売り場の責任者としてクレーム対応の経験もあるという柴田議員。 従業員をカスハラから守る手段は必要としながらも、氏名公表までのプロセスに不安要素があるといいます。 桑名市議会・柴田理恵議員:「カスハラ対策委員会がどのようなものになるのか、まだ不透明。どんな人がメンバーになるのか。選ばれた人によって、判定が恣意的・一方的になってしまわないか。公平性が担保されるのか、懸念がある」 こうした声を受け、条例案には、付帯決議として、規則の素案ができた段階で議会への説明を求める意見がつけられました。 本会議での採決では、25人の議員のうち6人が反対。結局、賛成多数で条例案は可決・成立したものの、その全容が見えないことに懸念が示された形です。
桑名市・伊藤徳宇市長:「これらの意見を真摯に受け止め、今後、条例運用に関する規則の制定においてより慎重かつ丁寧に対応していく」 氏名公表への懸念に対して、丁寧に対応すると語った伊藤市長。市は、具体的な手続きを定めた規則のほか、市民に周知するためのガイドラインも作成し、来月(今年2月)議会に説明するとしています。 全国初の制裁付きカスハラ防止条例。施行まで3か月を切る中、運用への不安を払拭し、カスハラを防ぐ有効な手立てとなるのでしょうか。