お得なフリーきっぷで昭和初期の風情漂う文化財駅舎を巡る
JR東海&16私鉄乗り鉄☆たびきっぷ 熱海駅発1泊2日コース
土曜・休日の連続する2日間、東海エリアを鉄道で旅するなら断然お得な「JR東海& 16 私鉄 乗り鉄☆たびきっぷ」。今回はこのきっぷで、東海地方にある国の登録有形文化財の駅舎や鉄道関連施設などを巡る時空を超えた旅に出かけてみたい。 熱海駅新幹線連絡口できっぷを購入し、こだまで掛川駅へ。別途特急券を購入すれば、新幹線「ひかり」「こだま」(4回まで)や在来線特急(回数無制限)の自由席も利用できるのでぜひ活用したい。フリーエリアはJR東海の在来線全線のほか、隣接する16社の私鉄路線が含まれるのもポイントと言える。 掛川駅から天竜浜名湖鉄道の普通列車に乗車。途中の桜木駅や原谷(はらのや)駅などで開業当時の駅舎を車窓に見ることができ、これから向かう旅への高揚感が高まっていく。同じく開業時から残る原野谷川橋梁(はらのやがわきょうりょう)、太田川橋梁を渡って進んだ。 天竜浜名湖鉄道は東海道線の迂回(うかい)路線の二俣線として、1935年~40年にかけて順次開業。先の駅舎や鉄橋を含めた36件が国の登録有形文化財だ。 【写真】天竜浜名湖鉄道の遠江一宮駅にある百々やの笊蕎麦
今も現役の転車台などの施設を見学
最初の目的地・天竜二俣駅には、木造平屋建て切り妻造りの駅本屋(ほんや)、アメリカのカーネギー鉄鋼会社や八幡製鉄所製造の古レールが建材として使われるプラットホーム上屋(うわや)などがある。このほかの、今も現役として使われる機関車転車台や機関車扇形車庫、運転区事務室を見学するため、「転車台&鉄道歴史館見学ツアー」(600円)に参加。「シン・エヴァンゲリオン劇場版」に登場する第3村のモデル地の一つとなったレトロな施設を間近で見ると、まるでスクリーンの中に飛び込んだかのようだ。 遠江一宮(とおとうみいちのみや)駅まで戻り、駅本屋で営業する「百々(もも)や」にて笊蕎麦(ざるそば)を味わう。遠州森駅本屋、宮口駅本屋など、ほかの国登録有形文化財施設も巡ってから、近江鉄道へ向かう。 遠州鉄道と新幹線を乗り継ぎ、米原駅で近江鉄道の2両編成の列車に乗り換え、2駅目の鳥居本駅で下車した。開業した1931年当時の姿の洋館風駅舎は、赤瓦に「マンサード」と呼ばれる腰折れ屋根が特徴で、四角い煙突も相まって、まるで童話の世界のようだ。こちらも国の登録有形文化財になっている。