「娘夫婦のやり方を尊重して、あまり関わりすぎないように」森尾由美に聞く“おばあちゃんの心構え”
子育てを地域で手助けするために“存在を知ってもらうこと”から始める
――実際に森尾さんが娘さん夫婦と関わる中で、子育ての課題を感じることはありますか。 森尾由美: 娘は、子どもが成長する環境をどうやって整えていけばいいのか、心配しているみたいです。行きたい学校にいかせてあげたいし、やりたい習い事をやらせてあげたいと。また、子育てをしながらどうやって時間を割いて仕事をしていくかについても、課題を感じていると聞きました。 私たち世代の頃は、両親や親戚などと一緒に住んで、身内に子育てを助けてもらえたケースもまだあったと思いますが、いまは夫婦二人、家族だけでどうにかしなくてはならないことも多いですよね。 ――子育ては家族の中だけでなく、社会全体でやっていこうという機運が高まっていますが、これに対してはどう思いますか。 森尾由美: 子どもを育てたり産んだりするのは不安しかないので、社会全体で不安要素を少しでも減らせたらいいですよね。 とはいえ、私自身、どうやったら近所、地域、周りの人たちの手助けができるだろうと考えてしまいます。例えば、朝、家の周りを掃除していて、道行く子たちに「おはよう」って声をかけても、子どもたちは日頃から「知らない人に声をかけられても応えないように」と教えられていたりもしますから、困ってしまうこともある。子どもたちを不審者等から守るための緊急の避難場所である「こども110番」の活動をしていますが、実際何かあったときに子どもたちが家に来るかというと、なかなか現実には難しいかもしれません。区から携帯に「夜遅くに子どもが出歩いていて、声をかけられた事案がありました」とお知らせが届く仕組みもあるのですが、届いたところで「じゃあ私たちはどうすればいいの?」となってしまいます。 私以外にも「手助けしたいと思っていても、どうしていいかわからない」という人は意外と多いかもしれません。地道な活動かもしれないですけど、もうちょっと私自身が地域の催し物などに参加して「私はここの住民です」「何かあったら声をかけてください」と地域の方々にアピールした上で、近所の子どもたちに声をかけていくしかないのかなと思っています。現状を変えていくには時間をかけてやっていくしかないのでしょうね。 ---- 森尾由美 1982年、ドラマ「ねらわれた学園」でデビュー。翌1983年には、「お・ね・が・い」で歌手デビュー。1996年~2004年、アニメ「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(フジテレビ系)では秋本・カトリーヌ・麗子役で声優を務め、1999年~2009年、ドラマ「大好き!五つ子」(TBS系)では11シーズンに渡り母親役を演じた。現在は毎週日曜日放送中のトークバラエティー、「はやく起きた朝は…」(フジテレビ系)に出演中。インスタグラム: @yumimorio_official 文:中森りほ (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo! JAPANが共同で制作しました)