まさかコレで訴えられるとは! 後輩へのアドバイス、親切心でも「言ってはいけない」ワケ…思わぬ《パワハラ騒動》に関係者が青ざめた
労務相談やハラスメント対応を主力業務として扱っている社労士である私が労務顧問として社労士として企業の皆様から受ける相談は多岐にわたります。 【マンガ】5200万円を相続した家族が青ざめた…税務署からの突然の“お知らせ” 経済や社会情勢の変化によって労働問題やハラスメントの捉え方も変わり、「明らかにアウト」「明らかにセーフ」といった線が引きにくい時代になりました。その中には「アドバイス」か「ハラスメント」なのか、客観的な線引きが難しいこともあります。 今回は先輩社員から後輩社員への親切心でのアドバイスがハラスメントとして受け取られた相談について、前編記事<50代、金融機関の「人事部担当」が絶句…パワハラを訴えた「20代の女性社員」の驚きの相談相手>に引き続き匿名化した事例を通してご紹介します。
そのうち分かってくれると思っていた
面談でのA井さんは、自分がパワハラ加害を訴えられるとは思わなかったらしく、動揺を隠しきれない様子でした。 「親切心でやっていたことです。これでパワハラなんていわれるとは思いませんでした」 「A井さんは、N坂さんが訴える行為を、実際におこなったという自覚はあるのですか? 例えば服装や髪型に口を出したことは」 「あります。N坂さんに限らず、若手社員の方で目に付く方には注意というか、声掛けはしています。本来自由なことではあるんでしょうが、うちは金融機関ですし、窓口や営業だとお客様がそれを理由に難癖をつけてくることもありますから」 A井さんがこう思うのは、過去の苦い経験からくるものでした。じつは自分が窓口を担当していたとき、顧客に金利の件でこう難癖をつけられたのだそうです。 <ちゃらちゃらしやがって。俺らから巻き上げた金でやっているんだろう。ふざけるな> 厳しく弾劾され、しばらくの間はその顧客が窓口に来るたび怒鳴られ、付きまとわれたのです。まだカスタマーハラスメントという言葉がない時代でした。 「N坂さんだけではないんですけど……若手が私のことをうっとおしいと思っているのは分かっていました。でも、そのうち意味も分かってくれるかなと思っていたんです」 「私もそうでしたし…」とA井さんは目を伏せました。