海外遠征を経て到達 白川未奈が歩んだ東京ドームへの道
【WEEKEND女子プロレス#45】
スターダムの白川未奈が新日本プロレス1・5東京ドームに参戦。はじめての東京ドームは、メルセデス・モネ(元WWEのサーシャ・バンクス)のSTRONG女子王座と自身が保持するRPW統一(アンディスピューテッド)ブリティッシュ女子王座を懸けてのダブルタイトルマッチだった。 【写真ギャラリー】“弾けるヴィーナス”白川未奈(写真:新井宏) 新日本の両国大会でプロレスに魅了され、プロレスラーとしてデビューし、たどり着いた東京ドームのリング。女子プロレスでは 1994年に全日本女子プロレスが東京ドーム大会を実現させたが、現在のマット界において東京ドームで試合をした女子レスラーは数えるほどしかいない。それだけに白川は“選ばれし者”でもあったわけだが、ここに至るまでの段階をしっかり踏んでの到達であることを見逃してはならない。それは、白川未奈にしかできない白川流の道のりでもあったわけだ。 白川は昨年3月にアメリカデビュー。以後、日本とアメリカを往来するようになり、8月には約1カ月間の遠征を実現させた。そのなかでイギリスにも足を延ばし、RPW(レボリューションプロレスリング)のベルトも獲得した。そのあたりは昨年9月20日掲載の「WEEKEND女子プロレス♯30」にて詳報しているが、今回は11月から12月にかけての海外ツアーについてまとめてみたい。 「8月はAEWから声をかけられたのがきっかけでした。今回は、マライア・メイのお祝いをしたかったというのが大きいですね」 英国人のマライア・メイは、無名時代にスターダムに初来日。白川のユニット、クラブビーナスに所属し急成長、AEW入りのチャンスをつかんだ。そのマライアが昨年8月、白川の遠征期間中に彼女の目の前でAEW女子世界王座を戴冠。トニー・ストームとの“三角関係”にも一応の終止符を打つと、「ミナが恋しい」旨のコメントを幾度となく発信していた。それに白川が応えるべく、11・4宮崎を最後にスターダムをしばらく欠場、2度目の長期遠征のため、渡米したのである。 「マライアとのローズゴールドでいっぱい試合をしたいとの話もしていました。日本にいたときからマライアとのタッグは大事だったし、世界で見せたいとの思いもありました。なので今回、チャンスかなと思って。でも、5★STAR GPにつづいてタッグリーグ戦も欠場になってしまうことに葛藤はありましたね。出るなら舞華とのタッグで一緒にやりたかったけど、いまの舞華にはHANAKOかなって。その方がユニットの底上げができるだろうし、それならジーナとのタッグかなとも考えたけど、ジーナがケガをしてしまって。梨杏にも(月山和香とのタッグで)大きな経験をさせてあげたかったし、今回は私が海外に出てスターダムを広める役割をして、ほかの4人にはユニットを上げるため頑張ってもらおうとなりました」 遠征初戦は、11・14ニューヨークでのハーリー・キャメロン戦。トニーとの抗争中に遭遇した選手との初シングルだった。第2戦は11・20レディングでマライアとのタッグが実現、キャメロン&ナイラ・ローズ組とのタッグマッチで、白川がキャメロンから連勝を飾っている。11月23日にはPPV「フルギアー2024」でマライアの祝勝会がおこなわれ、白川が参加。ところが…。 「PPVのステージでシャンパンセレブレーションができたんですよ。なのに、背後からボトルをスイングされて、自分はかわしたんです。それってつまり、裏切りなわけですよ。私には裏切りにしか見えなかったし、腹が立ったからタックルかましてステージから突き落としました。もう、これで決別ですよ。向こうから仕掛けてきたんだから。テーブルクラッシュでマライアも痛かっただろうけど、私もケガしました(苦笑)」 お祝いどころか、マライアとの遺恨が勃発。白川の遠征はつづき、第3戦は11・27シカゴでのレイラ・グレイ戦、第4戦が12・7コロンバスでのさくらえみ戦だった。 「レイラはニュージャパンアカデミーの若い選手でした。日本の女子プロレスにすごいリスペクトがあって、気持ちよく試合ができましたね。さくらさんとは、事実上初めてでした。(21年3・3)日本武道館でのランブル戦で同じリングには立ったんですけど、そのときは絡めなかったんですよ。それが今回実現できた。海外遠征の目標のひとつとして、現地で活動している日本人との対戦がありました。というのも、日本の女子プロレスを体現できるから。日本ではありえないカードも実現できて、そこに大きな夢も感じましたね。その試合で勝てたのは、自分が日本とアメリカで頑張ってきたひとつの成果なのかなって」