中国銅管メーカー、アルミ内面溝付管で日本市場参入へ
中国の銅管メーカーは熱交換器向けアルミ内面溝付管の日本市場参入を図っている。銅管世界大手の浙江海亮が4月に日本向けの量産を始めるほか、今月都内で開かれた空調機展示展で、金龍精密銅管や興栄ハイテックがアルミ内面溝付管を展示し、日本のエアコン企画・開発担当者らに向けてアピール。市場調査と併せて、販路開拓を狙っている。 浙江海亮は昨年10月、中国・浙江省に新設したアルミ管専用新工場で量産を開始。製造能力は年間2万トンで、日系銅管メーカーの生産能力を大きく上回る。既に複数の日系エアコンメーカーへの採用が決まっており、今後東南アジアの拠点へのアルミ管生産開始も検討するという。東南アジアには日系エアコンメーカーの工場が数多くあり、ここへの供給も視野に入れているとみられる。 金龍精密銅管は今月都内で開かれた冷凍・空調・暖房展「ヒーバック&アールジャパン2024」でアルミ内面溝付管を提案した。同社によると、日本市場への参入に積極的な姿勢を示しているわけではなく、「あくまで市場調査段階」(担当者)とする。ただ、反響次第ではアルミ管販売に本腰を入れる可能性も否定できない。同社は中国現地の日系エアコンメーカーに導入実績があるが、日本の製品企画・開発担当者に対する訴求が成功すれば、中国や日本以外の製造拠点までアルミ管の供給先が広がる可能性があるためだ。 興栄ハイテックも中国現地の日系エアコンメーカーに導入実績があるが、日本拠点への実績はない。ただ、昨年の空調用アルミ内面溝付管の生産実績は年間1500トンで、現在ペア管を含む空調用アルミ管の生産能力は同3千トンに及ぶ。「ヒーバック&アールジャパン2024」を足掛かりに、日系エアコンメーカーの企画・開発担当者にPRすることで、供給先を広げたい狙いがあるという。担当者は「当社製品は亜鉛溶射を押し出し直後に行っており、対応できる外径幅が広いのが特徴。また、亜鉛溶射した独自アルミ合金『A3003NZAS』は通常のA3003の10倍の耐腐食性能を示す」と強みを説明し、日本市場へアピールする。 エアコンメーカーはこの数年、銅需要の増加により銅管価格が高止まりする可能性から、銅管の一部をアルミ管に代替する動きを加速させている。一般的にアルミは銅よりも熱伝導性が低いが、「熱交換器の設計を工夫すれば素材の特性差はカバーできる」(浙江海亮)という。