初招集組も躍動。思い背負って戦ったU-17日本代表がBalcom BMW CUP初戦で広島ユースに逆転勝ち!
[8.8 Balcom BMW CUP第1節 U-17日本代表 2-1 広島ユース ホットスタッフフィールド広島] 【写真】「可愛すぎて悶絶」「金メダル」「新しいジャケ写かと」大物歌手が日本代表ユニ姿を披露 U-17日本代表、サンフレッチェ広島ユース、広島県高校選抜U-18、ウズベキスタン代表U-17の4チームが1回戦総当りのリーグ戦で優勝を争う「HiFA 平和祈念 2024 Balcom BMW CUP 広島国際ユースサッカー」が、8日に広島市内で開幕した。4連覇を狙うU-17日本代表とサンフレッチェ広島ユースとの一戦は、2-1でU-17代表が勝利。白星発進のU-17代表は、10日の第2節で広島県高校選抜U-18と戦う。 2007年生まれ世代のU-17代表は、2028年ロサンゼルス五輪時に21歳。そのメンバーやA代表に食い込むような選手が出てくることが期待されるチームだ。朝岡隆蔵監督(ふたば未来学園高)は、「(彼らは)サッカー界の夢でもある。そういう気持ちを背負ってやって欲しいって伝えました。気持ちって大事じゃないですか。だから、軽く、上手いぶってやらないで欲しい。色んな方の思いを背負ってやって欲しい。我々の思いは、やっぱり彼らの活躍なんで、活躍するために、このピッチで何を今するか、後悔しないようにやってくれと」。今大会のメンバーは初招集組も多い陣容。その初戦は上手くいかない部分も多かったが、気持ちを表現するようなプレーを続け、白星を勝ち取った。 U-17代表の先発はGK萩裕陽(名古屋U-18)、右SB小澤有悟(磐田U-18)、ゲーム主将のCB森壮一朗(名古屋U-18)、CB秦樹(横浜FCユース)、左SB小浦拓実(福岡U-18)、ダブルボランチが山本天翔(G大阪ユース)と和田直哉(浦和ユース)、右SH長疾風(鹿島ユース)、唯一早生まれで高校3年生の左SH木村有磨(履正社高)、トップ下が末宗寛士郎(岡山U-18)、最前線に山口豪太(昌平高)が構えた。山本はG大阪ユースが2連覇したクラブユース選手権(U-18)でMVP。10番の山口はインターハイで5アシストを記録し、昌平の初優勝に貢献している選手だ。 一方の広島ユースは、GK小川煌(2年、23年U-16代表)、右SB桝谷歩希(3年)、CB木吹翔太主将(3年、U-19代表)、CB林詢大(2年)、左SB橋本日向(3年)、アンカーに太田大翔(1年、23年U-15代表候補)、2シャドーに野口蓮斗(1年、U-16代表)、井上証(3年)、そして右SH宗田椛生(2年)、左SH小林志紋(2年、U-16代表)、最前線でFW井上愛簾(3年、23年U-17代表)が先発。前日のJ1に出場、決勝点をアシストしたMF中島洋太朗(3年、U-19代表)は不在だったが、いずれもトップ昇格を決めている木吹と井上愛がメンバーに名を連ねた。 試合開始直後、U-17代表は山口の1タッチパスから木村がスピードを活かして一気に左サイドを抜け出す。そして、ラストパスのこぼれに長が飛び込む。先にゴール前のシーンを作り出したU-17代表は、その後も山口がボールを収めて起点となるが、主導権は広島ユースへ。ホームの広島ユースは自分たちの距離感でボールを繋ぎ、失っても高い位置で奪い返した。 中でも、相手をねじ伏せるようなキープで会場を沸かせていた木吹が、DFラインから再三ボールを持ち運び、正確なロングフィードで局面を変える。また、ソレッソ熊本時代からチームメートの太田のサポートを受ける1年生MF野口が、存在感のある動き。前半15分には野口のループパスで小林が左中間を抜け出し、GKとの1対1から右足シュートを決めた。 広島ユースは、18分にも木吹の縦パスを起点に井上証が左サイドへ展開。橋本のクロスから小林がクロスバー直撃のヘッドを放つ。直後にも野口の1タッチパスで井上愛が右中間のスペースを突いた。 U-17日本代表は守備面で前からの規制がかからず、攻撃面でも自陣深い位置からの苦しいビルドアップになってしまう。だが、前半の飲水タイムなどで徐々に修正。朝岡監督が「不効率でも、上手くいかなくても、ハードにやってくれた」と振り返ったように、流れの悪い中でも一人ひとりがハードワークして踏ん張り、1チャンスを活かして同点に追いついた。 前半26分、山本の厳しいチェックからセカンドボールを和田が回収。秦、木村と1タッチで繋ぎ、山本が左足ダイレクトでDF背後へ絶妙なパスを通す。これで末宗が抜け出すと、GKとの1対1から右足シュートをゴールへ沈めた。 チーム初シュート、また初代表・末宗の初ゴールで同点に追いついたU-17日本代表は、CB森がDFラインから大きく飛び出してアプローチ。左SB小浦がタッチライン際の守備で身体を張り、右SB小澤は身体を投げ出して1対1を止める。また、広島ユースFW井上愛にドリブルシュートへ持ち込まれたが、CB秦がブロック。幾度か速攻でチャンスになりかけたシーンがあったものの、広島ユースも木吹や林が要所を締めたことでそれを活かせなかった。だが、U-17代表はいずれも守備力の高さを見せる森と秦や、回収力の光る和田らが奪い返す回数を増加。前半を1-1で終えた。 U-17日本代表は後半開始から長、末宗、木村、山口のアタッカー4人に代えて右SH土居佑至(清水ユース)、左SH杉浦誠黎(湘南U-18)、FW中積爲(G大阪ユース)、FW大石脩斗(鹿児島城西高)を同時投入。後半は最前線でのボールキープ、ポストプレーで一際光る動きを見せた大石を起点に、狙いの奪ってから前へ速く攻めることがより表現されていた。 3分に山本の右CKから森が決定的なヘッド。7分には大石が強引にドリブルで前進して右足を振り抜く。その後も山本や中積が攻撃をスピードアップ。広島ユースも橋本のパスで井上愛が抜け出し、そのままシュートを狙う。だが、ここは秦がブロック。さらに井上愛のドリブルシュートをGK萩が横っ飛びで止めた。一進一退の攻防。その中で、U-17代表が2点目を奪い取った。 後半21分、U-17代表は自陣からビルドアップ。大石からの落としを受けた山本が左足で左前方へロングボールを入れる。これで相手DFと入れ替わった杉浦が、一気にゴール方向へドリブル。「自分、初めて代表選ばれたんで、結果を残してやるって気持ちがあった」という杉浦が、カバーしたDFよりもわずかに速く右足を振り抜き、ファーのネットへ勝ち越し点を決めた。 広島ユースは27分に宗田をFW菊山璃皇(1年)と交代。ボールを保持しながら圧力をかけ、この日一人で6本を放った小林のシュートなどで反撃する。34分には木吹のキックでDFを裏返すが、これはPAから飛び出したU-17代表GK萩が胸でコントロールし、正確なキックでマイボールにするファインプレー。一方、土居や杉浦が相手の背後を狙うU-17代表は36分、山本のスルーパスで中積が右中間を抜け出し、そのまま左足シュートを放つ。 今度は広島ユースGK小川が好セーブ。大石を起点に効果的なサイドチェンジも増えたU-17代表だが、3点目に結びつけることができない。38分、U-17代表は小澤と山本を右SB佃颯太(横浜FCユース)とMF今井健人(東京Vユース)へスイッチ。押し込まれた終盤、集中して守るU-17代表はFKからのピンチで中積がゴールカバーし、相手MF野口のパスで背後を取られかけたシーンも小浦が身体を投げ出してクリアする。40+4分、広島ユースは橋本の右CKがニアの203cmCB木吹へ通るが、ヘッドは枠右へ。直後に試合を終了の笛が鳴り、U-17代表が開幕白星を獲得した。 U-17代表の朝岡監督は「全員が100点っていう訳にはいかないけど、ほんとにみんなよくやってくれたと思います。1戦目が1番大事だと思ったし、そういう意味ではここで勝って超えられたんで、ほんとにもっと良くなると思います」と頷いた。試合の中で攻守が改善され、今後の戦いへ向けても弾みをつける勝利。代表チームの責任を持って戦う選手たちは勝つことと活躍することを誓う。 和田は「初戦勝っただけなんで、この後2戦勝って。(ここまで)連覇してるんで、そこはしっかり頭の隅に置いておいて、1試合1試合勝っていきたいです」と引き締める。また、大石は「やっぱり代表っていうのは、サッカーしてる人も、見てる人もみんな注目していると思うんで、プライド持ってどの試合でも多くチャンス作ったり、自分で点決めたりしていかないといけないなって思います」。飛躍を期す各選手、チームが様々な思いを背負って戦い、今後に繋がるような3試合にする。