甘くみてました…世帯年収1,600万円・40代夫婦、〈頭金500万円・ペアローン〉で「億超えタワマン」購入も、6年後に待ち受ける「大誤算」【CFPの助言】
ライフプランの変更に対応できる資金計画が大切
Mさん夫婦は家計を立て直すべく、FP相談に来られました。 「まさかこんなことになるとは……。独身時代の感覚で、月15万くらい余裕で返せると、甘く見てました……」と、憔悴する妻。Mさん夫婦のように、住宅購入時には想定していなかった生活スタイルの変化で、住宅ローン返済に行き詰まるケースは珍しくありません。 ちなみに、小学校6年間で保護者が支出する「子ども学習費」の総額は、公立小では約211万ですが、私立小では約1,000万円というデータがあります。この費用には、学費の他に給食費、学校外活動費などすべてが含まれていますが、両者の差は、非常に大きいものとなります。 Mさん夫妻からのヒアリングの結果、二人の子の小学校受験を優先したいとのことでしたので、タワマンは売却し、住宅ローンを精算して、同地区の中古マンションへの転居を提案しました。幸いにもタワマンの資産価値が高かったため、マンションの売却費で、住宅ローンの残債を返済できそうです。 また、今後はお互いの収入をオープンにしたうえで、家計を管理し、住宅ローン返済や教育費を確保していくことを提案しました。 【中古マンションの購入費&返済プラン】 ・物件価格:6,000万円 ・頭金:0円 ・借入額:6,000万円 ・借入金利:1.78%(全期間固定型) ・返済期間:25年 ・月々返済額:約24.8万円(ボーナス返済なし) 今回、住宅ローン借入れは、固定金利(全期間固定型)でシミュレーションしています。 家計に余力がある場合は、変動金利も選択肢ですが、教育費を優先したいMさん夫婦の場合、金利上昇におびえることなく、安定した家計管理ができる固定金利のメリットは大きいと考えます。 知っておきたい「ペアローン」の落とし穴 昨今、共働き世帯の増加と首都圏の不動産価格の高騰により、20代~30代の共働き世帯では、ペアローンを利用するケースが増えています。二人でローンを組んで借入額が増やせれば、理想の物件に手が届きやすくなりますし、住宅ローン控除をダブルで受けられるというメリットもあります。 しかし、「借りられる金額」=「返済できる金額」ではないことを、念頭に置いておく必要があります。収入に対して返済比率が高い場合、どちらかの収入が減少したり、家族構成が変わったりした場合、途端に返済に窮してしまいます。 先のことを予測することは難しいですが、将来起こり得る変化に対応できるような資金計画が大切でしょう。 [出典] 文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」 三菱UFJ銀行「住宅ローン借入可能額シミュレーション」 山﨑 裕佳子 FP事務所MIRAI
山﨑 裕佳子