甘くみてました…世帯年収1,600万円・40代夫婦、〈頭金500万円・ペアローン〉で「億超えタワマン」購入も、6年後に待ち受ける「大誤算」【CFPの助言】
子どもが生まれて生活が一変…住宅ローンが負担に
Mさん夫婦は当初、積極的に子どもを望んでいたわけではありませんでした。しかし、結婚生活も5年が経過した頃、二人の気持ちに変化が生じ、子どもを持つ決心をします。お金の面で多少の不安はあったものの、妻は産休・育休後に仕事復帰することを決めていたため、何とかなると考えていたそうです。 妻の育児休業中の収入は、雇用保険から支給される育児休業給付金のみとなります。育休開始から最初の6ヵ月間は賃金の67%、その後、一定の要件を満たした場合に、最長2歳まで賃金の50%が支給されます。 Mさんの場合、保育園に空きがなく、育休を延長しているうちに第2子を授かったため、職場復帰が遅れ、収入が激減してしまいました。収入が減っても、住宅ローンの返済は待ってくれません。妻は次第に、自分の住宅ローン返済に負担を感じるようになったといいます。 当時、お財布を別にしていた夫には、すぐに相談することができなかったそうです。最初の出産から3年後、第2子が1歳になったタイミングで、時短勤務で仕事復帰を果たします。
ママ友から聞くタワマンの生活レベルに翻弄
無事に復職し、これで一安心かと思いきや、同じタワマンに住むママ友たちとの付き合いが妻を悩ませることになります。 タワマン住まいの家庭の世帯年収は高く、おのずと生活レベルも上がります。育休中に知り合ったママ友たちも例外ではありませんでした。子どもにスイミング、ピアノ、英会話など、複数の習い事をさせていたそうです。世間では、共働き世帯が増えているといわれていますが、タワマンでは、専業主婦家庭も珍しくなかったといいます。 そして、ご近所のママ友から、昨今のお受験事情について聞くことになります。 都内では、十数年前から中学受験が過熱しています。妻もそのことは承知していましたし、漠然と中学からは私立という心構えはしていました。しかし最近は、教育に熱心でお金に余裕のある家庭では、受験の前倒しが起こっているというのです。 妻は、競争率の高い中学受験を避けて、小学校受験を検討している家庭が多いことを知り、経済的不安もありつつも、ご近所ママたちの「お受験熱」の勢いに押されて、自身も小学校受験対策に踏み切ることに。 小学校受験をする場合、一般的に年中から受験対策のための幼児教室へ通います。Mさん夫婦は、幼児教室の月謝は工面できそうと判断しましたが、共働きのため、送迎に時間を割くことができません。そこで、ベビーシッターに週2回の幼児教室への送迎と、両親のどちらかが帰宅するまでの留守番をお願いすることにしました。 基本的に、中学以降にかかる教育費の確保は、小学校卒業までの間を準備期間として、資産形成することができます。高校まで公立を選択する場合、高校卒業までに大学費用を準備すれば、間に合います。 しかし、小学校受験をする場合、教育費の準備期間はなく、あらかじめ教育費の確保がない場合は、月々の家計費やボーナスから費用を捻出することになります。Mさんの家計は途端に厳しくなりましたが、幼児教室を楽しんでいる子どもの姿を見ると、引き返す決心ができなかったといいます。 このとき、妻は44歳。お金の不安が増すなかで、精神状態が一時期不安定になり、不安感や焦燥感から高額な買い物を繰り返すようになってしまいます。家計は崩壊寸前です。夫は、ようやく事の深刻さに気付きました。