沼津餃子って?地元民が熱狂する「中央亭」の謎、焼き上げてから“茹でる”という独特のスタイル、餃子から感じた自信と誇り
そこまで沼津の人々の心を鷲掴みにする「中央亭」の餃子とはいったいどんなものなのか。いつも行列に並んでいる皆様やテイクアウトを楽しみにしている皆様には申し訳ないが、その場で実際に食べさせてもらうことにした。 目の前に運ばれた餃子からは湯気が立ち上っていた。1つひとつが巷の餃子よりも1.5倍くらい大きい。それと皮には焦げ目が付いているものの、パリッとしていない。あ、編集担当が言っていた「クタッとしている」というのはこのことか。
■餃子の概念を覆すようなおいしさ まずは何も調味料をつけずにハフハフしながら口に入れると、歯を押し返すようなモチモチの皮の食感とともに焼き目の香ばしさが広がる。これが何とも心地よい。 そして皮を破ると、肉の旨味たっぷりの餡が味覚を刺激する。巷の焼き餃子と違って、脂のしつこさはない。餡の中身は豚肉とキャベツ、ネギ……。あれ? ひょっとして餃子には欠かせないニラやニンニクを使っていないのではないか。
次にタレを付けて食べてみた。これもまた焼き目の香ばしさや餡の旨味をさらに引き立てるではないか。 3個、4個と夢中になって口へ運んでいると、「よろしければ、からし油も試してみてください」と、友田さん。餃子といえばラー油だが、からし油は初耳だ。卓上に置かれた醤油差しに入った黄色い液体がそれだという。 少量のからし油を餃子に直接かけて食べてみると、辛味よりもまろやかな酸味がこれまた肉々しい餡とよく合う。いや、合いすぎる。そもそも豚肉にからしは鴨肉にネギと同様に欠かせないものなので合わないわけがない。
筆者の食べっぷりを目の当たりにした友田さんは、「ご飯をお持ちしましょうか?」とおっしゃったが、丁重にお断りした。この餃子はご飯やお酒にもぴったりだとは思うが、餃子だけを堪能したかったのだ。用意してくださった8個の餃子はあっという間に胃袋の中へと消えた。いやー、本当においしかった! 開店前から行列ができるのも、テイクアウトの翌日受け取りも納得だ。 ■焼いてから茹でるのが「中央亭」の餃子 厨房ではまだ店員さんが餃子を焼いていた。フライパンいっぱいに並んだ餃子は見るからにおいしそう。今さっき食べたばかりなのに、また食べたくなる。きつね色の焦げ目がついたところで餃子を箸でひっくり返して完成……ではなかった。