八回、重盗を決めるドジャース・大谷翔平＝クアーズ・フィールド (撮影・水島啓輔)

ロッキーズ1－2ドジャース（29日、デンバー＝丹羽政善通信員）米大リーグ、ドジャースの大谷翔平投手（30）はレギュラーシーズン最終戦のロッキーズ戦に「1番・DH」で出場し、4打数1安打、1盗塁だった。54本塁打、130打点で2年連続本塁打王と初の打点王の2冠は確実。打率は・310で終え、1位に4厘届かなかった。三冠王はならなかったが、打撃10部門でトップ。ワールドシリーズ制覇へ、10月5日（同6日）から始まる地区シリーズ（5回戦制）に臨む。 三冠王は逃したが、伝説の1年となった。チケットは完売し、球場には4万8320人が集結。2012年のミゲル・カブレラ（タイガース）以来の三冠王の可能性を残していた大谷だが、最後まで個人記録には無関心を貫いた。 「（三冠王は）あまり考えていなかった。（打率で）どのくらいの差があるのか、よく分かっていないし、いい打席を送りたいと思っていた。その先でもう一段、打撃の質で先が見えたのが良かった」 試合前時点で大谷は打率・310、リーグトップのアラエス（パドレス）は・314だった。大逆転での首位打者には固め打ちが必要だったが、3打席目まで無安打。それでも、1―1の八回1死一塁に右前打。盗塁も59に伸ばし、最後まで勝利を優先した。 10年総額7億ドル（約1015億円＝為替レートは入団合意時）で移籍した今季。昨年9月に受けた右肘手術のリハビリでDHに専念し、歴史的な活躍を見せた。19日には史上初の「50本塁打、50盗塁」を達成。2冠を確実にした本塁打と打点に加え、59盗塁、134得点はいずれも日本選手のシーズン最多記録を塗り替えた。出塁率、長打率、OPS、長打、塁打などを加えるとリーグ10冠だ。 欠場は休養目的の3試合のみで日本勢初のトリプルスリー（同一シーズン打率3割、30本塁打、30盗塁）を達成。タイトルは全チームの試合が終了する30日（日本時間10月1日）に確定し、DH専任では史上初のMVP受賞が決定的だ。 激動のシーズンだった。開幕直後には元通訳による違法賭博問題が発覚したが、周囲に支えられた。「毎日同じルーティンをこなせた。同じ時間に同じことをなるべくできるようなスケジュールを、話し合いながらできたのが良かった」と振り返った。