寝床は地下の筋トレ室、外出は禁止…白鵬の愛弟子たちが告白「伊勢ヶ濱部屋移籍後の冷遇されっぷり」
白鵬の愛弟子たちは今…
元幕内力士、北青鵬(22)の弟弟子に対する暴行問題で、日本相撲協会は今年2月、宮城野親方(元横綱の白鵬・39)に2階級降格と減俸処分を下した。 【画像】白鵬の愛弟子たちが突きつけられた「誓約書」 厳しい文言が…… 3月場所から宮城野部屋の所属力士たちは相撲協会預かりとなり、4月から伊勢ヶ濱部屋に移籍。宮城野部屋は閉鎖となった。角界を揺るがした騒動から半年、旧宮城野部屋に所属していた力士18人はどうしているのかといえば――実に7名が土俵から去っていた。そのうちの一人、A氏は「大阪場所の最中に、協会から外出禁止を命じられた」と証言する。 「3月に大阪・上本町にある宿舎に入ってすぐに一切の外出を禁じると、親方(元白鵬)を通じて厳命されました。『協会からの指示だ』と言われました。僕らまで暴行の加害者扱いされたのです。当時、宿舎の周りにはマスコミがたくさん来ていたので、僕らが喋らないようにするためだったのかもしれない。外出禁止令が出て1週間ほどして、僕らのことを心配した師匠代行の玉垣親方が協会に掛けあってくれたおかげで、コンビニとコインランドリー、病院と接骨院のみ外出許可が出ました。どうして何もしていない僕たちがこんな目に遭わないといけないのか。親方と弟子たちを追放しようとしているとしか思えません」 白鵬の愛弟子たちの苦難は、伊勢ヶ濱部屋移籍後も続く。そのうちの一人、B氏が打ち明ける。 「地下一階にある20畳ほどのトレーニングルームで15人くらいの力士が寝泊りしていました。2段ベッドが4つ置かれていて、余ったスペースにも力士が雑魚寝していた。部屋に窓はなく、天井にはカメラがついていました。僕らはプライバシーもクソもなく、まったく気が休まらないので、体調を崩す仲間が続出したんです」 ◆不公正な『誓約書』 旧宮城野部屋の力士たちから、最も不満が噴出したのが移籍にあたって突きつけられたという「誓約書」(2枚目写真)だ。誓約書には「一つでも違反した場合は廃業・引退させる」など、厳しい文言が並んでいる。 「絶対におかしいです。いつでもクビにできるぞ、というメッセージですからね。親方(元白鵬)が『こんな事態になって本当にすまない。俺がすべての面倒を見るから、ひとまずサインをしてくれ』と僕たちに頭を下げられたので、渋々サインしましたが……」(B氏) 元東京高検検事で弁護士の若狭勝氏は「優越的立場の濫用で、違法の疑いがある」と眉をひそめた。 「小さな違反であっても伊勢ヶ濱親方の指示で相撲協会所属である力士を廃業、引退させられることになり、明らかに問題です。一般企業が従業員や取引先企業に対して同じようなことをしたら、不公正な契約関係や取引となり、労働法や独占禁止法違反になります。親方と力士の間なので独占禁止法の適用外ではあるものの、優越的な立場で不公正な誓約をさせるというのは同じ構造です」 旧宮城野部屋の力士は外出を禁じられ、一方的な誓約書を書かせられたという、彼らの訴えは事実なのか。地下室生活をさせた理由は何だったのか。 FRIDAYは相撲協会を通じて伊勢ヶ濱親方(64)に取材を申し込んだが、回答を拒否。8月下旬、伊勢ヶ濱親方を直撃取材するも、「協会が許せば何でも話しますが、そうでなければ話しません」と答えるのみだった。 後日、改めて相撲協会と伊勢ヶ濱部屋に質問状を送付したが、いずれも期日までに回答はなかった。 伊勢ヶ濱部屋に残っている力士たちは、今もなお劣悪な地下室での生活を続けている――。 『FRIDAY』2024年9月27日・10月4日合併号より 取材・文:加藤 慶(ノンフィクションライター)
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