当時10歳だったあの子役も…『相棒』実は出演していた意外な俳優たち
■不気味な連続殺人犯を好演したブレイク前の高橋一生
Season4の第4話「密やかな連続殺人」、第5話「悪魔の囁き」と2週連続で描かれたエピソードに登場するのは、実力派のイケメン俳優である高橋一生さんだ。 高橋さんは荒木飛呂彦さんの漫画を原作とする『岸辺露伴は動かない』シリーズで、独特な存在感を放つ岸辺露伴を見事に演じている。そんな彼が『相棒』で演じたのは、大学院生の精神科医助手・安斉直太郎である。 このエピソードは、荒川河川敷で若い女性の他殺体があがったことから始まる。遺体には片耳のピアスがなく、特命係はこれに着目。すると13年前にも同じような事件があり、右京の推理で長年おこなわれていた連続殺人が浮かび上がる。そこで有力な容疑者とみられたのが、村木重雄という男だった。 高橋さん演じる安斉は快楽殺人者・村木のカウンセリングを経験するうち、その悪に取り込まれてしまい、連続殺人を犯した危険な男だ。彼は普段は穏やかで人好きのする好青年なのだが、その裏には危険な殺人衝動を秘めていた。 ごく普通の青年が殺人衝動を抱くまでの過程を淡々とした口調で話し、徐々にその本性を見せていく高橋さんの演技には、思わず引き込まれてしまう。特命係に真相を暴かれ、「ひとたび怪物が目覚めたら自分ではどうすることもできなかった!!これは不治の病なんですよ、先生!」と激高し、最後には「僕は捕まらないよ」とビルから飛び降りようとする安斉。悪に魅了されてしまい、「あの人が呼んでるんだ」と死のうとする彼の姿は、悲壮感すら漂うほど哀れだった。 安斉は強烈な印象を残し、Season5の第5話「悪魔への復讐殺人」でも再登場している。その際には被害者になっていて、Season4の登場時の続編と位置づけられているために、通算3エピソードで高橋さん演じる安斉の姿を見られるわけだ。彼がそれぞれの回で見せるさまざまな表情から目が離せない。
■名家のお嬢様として存在感を見せた波瑠
Season11の第11話「アリス」では、いまでは主演女優として活躍している波瑠さんがメインキャラクターとして登場している。波瑠さんといえばNHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』で国民的な人気を獲得し、その後もさまざまな作品で主演を務めている。 そんな彼女はまだ20代前半の頃『相棒』シリーズに登場し、瑞々しい演技を見せている。波瑠さんが演じたのは、過去の少女失踪事件の謎を特命係と追うことになる旧家の令嬢・二百郷茜だ。波瑠さんはこの時はモデルとして活動しており、女優としてはあまり広く知られた存在ではなかった。そんな彼女が元日スペシャルで、超重要キャラに抜擢されて存在感を見せつけたのだ。 「アリス」のストーリーは、二百郷朋子という女性が75歳で亡くなったことから始まる。彼女は1955年に起きた友人の失踪事件を死ぬ直前まで気にしていた。そして、知り合いである右京に「ヒナギクじゃなかった。茜が危ない。あの子を助けて」というメッセージを託していたと判明する。その後特命係が茜に会うと、彼女の周りで奇妙な事件が起き始める。 茜は清楚で品のいい女性だが、大叔母がずっと気にしていた少女失踪事件を懸命に解き明かそうとする芯の強さも魅力だった。「杉下さん、秘密の隠し場所を見つけてください」と二百郷家の過去と向き合う覚悟を見せ、茜にとってもつらすぎる真相が分かった後には「時間の止まったお茶会はおしまいです」と晴れやかな表情を見せ、前を向いて生きていこうとする意志をしめした。そんな彼女の存在感と演技力によって、ノスタルジックな雰囲気が漂うエピソードである「アリス」はより印象的なものになったといえるだろう。