【闘病】謎の体重増加は「卵巣がん」… 抗がん治療や人工肛門の苦労を乗り越えて
病気に勝つのではなく、受け入れることを悟った
編集部: 治療中、特に不安だったことや印象に残っていることはありますか? 遠藤さん: 医師からは「人工肛門でも入浴は可能」と言われていましたが、入浴後に人工肛門から漏れるのではないかと不安でした。ですから、人工肛門になっている間はずっとシャワー生活でした。人工肛門を閉鎖し、1年振りくらいにお風呂に入った時は、本当に嬉しかったです。 編集部: 治療中に遠藤さんの心の支えになったものは何でしょうか? 遠藤さん: 治療当初、ネットで腎臓がんに関するインタビュー記事で「闘うのではなく、受け入れる」という言葉を読み、「楽しく治療しよう」と思うようになりました。そして「悪いことばかりを探すのではなく、落ちて泣いて悲しんで、愚痴を言ってもよい。 でも、その中から何か良かったものを探そう」という陽転思考を一層意識するようになりましたね。そして何より、実家に帰った時に普段は口数の少ない父から「病気はお前が悪いわけじゃないからな」と言われ、あたたかい気持ちになったことを覚えています。 編集部: 現在の生活の様子についても教えていただけますか? 遠藤さん: 退院して間もない頃は、10分で歩ける距離を40分かけて歩くほどの状態でした。今では元気に昔と同じような暮らしができています。感染症に注意して過ごしていても、たまに風邪をひくことはありますが、よく食べ、よく寝て、よく動いています。 病状が重かったため、産業医さんの管轄で負担のかかる仕事は減らしてもらっていますが、少しずつ重い物を持つことはしていて、仕事がリハビリになっている状況です。 編集部: 卵巣がんという病気を普段意識していない人、病気を知らない人にメッセージをお願いできますか? 遠藤さん: 子宮の病気はよく見聞きしますが、卵巣の病気はあまり知られていないと思います。女性の場合は、卵巣がんの初期症状について、知っておいて欲しいですね。 一方で、検査結果が出るまでの数週間を不安な気持ちで過ごすことになるので、ネットの情報ばかり信じないでほしいとも思います。 こうして卵巣がんを体験した私が感じたこと、実際の経験を伝えていくことが、これから多くの方の早期受診や早期発見につながると信じています。 編集部: 遠藤さんの体験を通して、医療従事者に伝えたいことや期待することはありますか? 遠藤さん: 私の発症時期はコロナ禍で感染症対策も非常に大変だったと思いますが、本当にとても良くしていただいたので感謝しかありません。 夜間に泣いている私の背中をさすってくださった看護師さん、術後にわざわざ様子を見に来てくれた看護師さん、先生も本当に良い方ばかりでした。お身体とお気持ちを大事に、これからも患者さんの治療を続けてくれれば嬉しいです。 編集部: 最後に読者向けにメッセージをお願いします。 遠藤さん: 体に何かの不調が現れたら、怖いと思いますが必ず病院を受診してください。そして健康診断を欠かさず受けてほしいです。また、女性は婦人科系の項目も検査してほしいです。 また「今元気だから大丈夫」と思って医療保険に入らないと、万が一自分の身に何か起きた時に後悔します。私の場合は抗がん剤治療だけで、限度額認定も使って月に約4万円かかっています。 そのほかの治療費も合わせると毎月6~8万円が医療費として出ていきます。医療保険の見直しと、女性は女性特約もつけておくと安心して治療に臨めるはずです。 「あの時入っておけば」と後悔しないよう、毎月安心のためにお金を納めていると思って加入を考えてほしいです。