愛したのは「殺人癖」のある“激ヤバ女性”だった…?古代ギリシアの惨劇をホラー漫画にリメイク【著者インタビュー】
古今東西の昔の風俗知識を投稿する「昔の芸術をつぶやくよ」さん(「ヤスダコーシキ」名義で著作あり)(@LfXAMDg4PE50i9e)のグロテスクで怖くて切ない話を、CHIHIROさん(@chihiro21865527)がギャグ要素多めのコミックエッセイ風に描いた本作。怖さと美しさのアンバランスな共存が楽しめる作品となっている。 【漫画】本編をイッキ読みする グロテスクな殺人ばかりが起こる話「メディア」は、もともとはエウリピデスが書いた話である。金羊毛(翼をもつ羊の毛皮)を手に入れたら王位を譲ってくれると言われた英雄イアソンは、金羊毛を求めてコルキスという国を訪れる。そこで、金羊毛を持つコルキスの王の娘、メディアと恋に落ちるのだが、この女が“激ヤバ女”だったのだ…!! ※一部ショッキングなシーンがあります。心臓の弱い方は閲覧をご遠慮ください。 ※本記事は発売中の「昔の芸術を<少女漫画風に>つぶやくよ」から一部抜粋・編集しました。 ■殺人癖のある“激ヤバ女”でも「糟糠(そうこう)の妻」は大事にしよう。昔話に学ぶ教訓! 「メディア」は、血しぶきが飛び散る少々エグめの話だが、今回は普段コミックエッセイを描いている漫画家のCHIHIROさんに手によって柔らかめに仕上げられた。コミックエッセイ風に仕上がった本作について、著者のヤスダコーシキさんは「子供が犠牲になるという救いのないお話なのですが、かなり軽めに仕上げてもらったのでさらりと読めますね。心臓が飛び出す『ズッキューン』の表現は何か懐かしくて笑ってしまいました」と語った。 イアソンが金羊毛を持っている王様の娘メディアと恋に落ちたのは、実際に一目惚れだったのか、計算だったのかは難しいところだという。王様の娘と恋仲になれば話は早い。また、後に彼はメディアを捨てようとしていることから、計算でメディアに近づいた可能性の方が高いとヤスダコーシキさんは予想する。 なお、漫画では描かれていないが、メディアに殺された弟は、四肢をバラバラにされ、部位ごとに海に投げ入れられたそうだ。おとりとして殺すには、あまりにも残虐である…。 物語に出てくる金羊毛は、翼をもつ羊の毛皮で、それ自体に大した効能はないが、とても入手困難で希少価値があったそうだ。かぐや姫が求婚者に求めた宝物と同じで「この世に存在するかどうかわからない程貴重な宝物」だったという。 最後に、この話の教訓について、ヤスダコーシキさんは「『糟糠の妻』という古い言い回しがありますね。下積み時代を支えてくれた伴侶の事を言いますが、急に売れた芸能人なんかは大概その『糟糠の妻』を捨てて若い女の子に走って大失敗します。このお話もそれと一緒です。お世話になった人を忘れちゃいけないんですね」と締めくくった。 取材協力:昔の芸術をつぶやくよ(「ヤスダコーシキ」名義で著作あり)