「ポケベル/トランシーバー爆発で死傷者数累計3200人」。あの不可解な事件はどのように起きたのか?
「ポケベルは恐らくほぼ同時に爆発したとされているが、トランシーバーも同時に爆発したかどうかが重要。 ポケベルに比べてトランシーバーを爆発させるのは手間がかかる。というか、同じようにはいかない気がする。ポケベルに比べてトランシーバーの電波到達距離は限られる上に、ポケベルと違いメッセージではなく電波による音声の送受信が可能だ。 仮に電波による起爆だと想定した場合には、電波の受信状況が悪ければ爆発しない事になる。明らかにトランシーバーの爆発の方が不確定要素含め、難易度が高いと思う。仮に電波を使って寸分狂わず同時に爆発させるとした場合、無線機が受信しない電波周波数帯を受信出来る受信機を起爆装置と連動させ、トランシーバーに仕込んだ可能性も否定出来ない。 その方法だとした場合、ヘリや航空機などを使い、上空やある程度離れた見通しの良い所から、起爆専用の電波を送信して起爆する事も技術的には可能だ。ただし、この方法を行うためには、受信するトランシーバーの電波受信状態が良好である必要がある」(量産型カスタム師) 少なくともポケベル、無線機共に、製造、修理のような段階で、起爆する仕組みを仕掛けたと思われる。 これだけ手の込んだ秘密作戦を今、発動した理由は、米国が現状でイスラエルに圧力を掛けられないこと以外に考えられないだろうか? 「今年の2月には、全面的に携帯スマホからポケベルに切り替えろと言ってきたわけです。それくらいから大量発注して、数千個が届き、夏ぐらいからヒズボラ戦士たちが皆持ち始めた。 しかし、バレる可能性もあるわけです。爆発物がポケベルには入っているので、犬ならば嗅ぎ分けられます。実際に、バレ始めたのかもしれません。なので、もうそろそろ実行しなければならないとなった可能性はあったのではないでしょうか」(菅原氏) そして、ポケベル/トランシーバーによる突然爆発奇襲が行われた。 ポケベルを受信したヒズボラ戦士は、当然それを手で掴んで表示を見る。その瞬間、爆発。だから、指と目を負傷した者が多数いる。これは、AK自動小銃を撃てなくなった戦士が多数出たということになる。さらにその戦士を指揮する指揮官クラス500人のトランシーバーが爆発して、死傷している。 死傷者数の累計は少なくとも3200人を超える。推定されるヒズボラの戦闘員総数は2~5万人と開きがあるが、仮に最小の2万人とすると死傷率は16%となる。 戦争の最前線では30%の死傷率でその部隊は全滅と判断されて、後方に下がる。すると、今回のボケベル/トランシーバー奇襲で、半滅以上の損害を与えたことになる。 「本来ならば、イスラエル軍は今が最大のチャンスなので地上侵攻するべきです。しかし、それが出来ていません。やはり、早まった形でポケベル爆発をしなければいけない事情があったと推測できます」(菅原氏) そのイスラエルが設定しているヒズボラ戦争でのゴールはどこなのだろうか。