「ポケベル/トランシーバー爆発で死傷者数累計3200人」。あの不可解な事件はどのように起きたのか?
「環境にもよるが、ポケベルでメッセージを受け取る為には常時、電波の圏内でなければならない。圏内であれば完全に受け身なわけで、ある意味、無防備。ポケベルの番号を知っている人は、電話さえあればポケベルを鳴らすことが出来る。 今回関与が疑われているイスラエルの対外情報機関・モサドは、元々USBで充電する電子タバコをハッキングツール化したりと身近な電子機器を使う印象がある。今や小型ガジェットの充電方法としては当たり前になったUSBを介して、情報を抜き取ったりしていると報道された事がある。 そもそも、ヒズボラのナスララ師含め組織の上層部が『スマホが危ない』という考えを、どのような経緯で抱いたのか、について考える必要がある。 昨年末くらいからウクライナの前線ではスマホのSIM通信によって周波数帯とおよその位置情報が検知され、爆撃されるという情報がメディアを通じて伝えられてきた。すると、当然ヒズボラとしては、気を付けなければ、となるのは当然の事のように感じる」(量産型カスタム師) 強権的な組織であるヒズボラとしてはナスララ師が大々的に主張すれば、当然スマホを捨てて、ポケベルに切り替える。 「ここがポイントで、スマホと違い、ポケベルは流通量も機種も限られている」(量産型カスタム師) 例えば、ヒズボラの上層部から「ポケベルを調達するように」と命令されたとき、選択肢が限られる。それで「ここしか買える会社はないです」となる......。 「さらにメンバーの数だけ必要となるわけで、ここの流れは実に自然。仮に、意図的にこの時点まで導いたとするなら、まず公開情報による認知戦から始まって、電子戦を仕掛けて爆破させて、今度は電波を使う電子機器そのものが危ない、という認知戦で終わる。この流れを見ても"The諜報機関"の仕事としか見えない」(量産型カスタム師) そして、数千台のポケットベルを同時多発で爆発させた。では、トランシーバーはどうやって爆発させたのだろう? 「今回は少量の爆発物がバッテリーの近くに仕掛けられ、バッテリーと共に爆発した。実はバッテリーだけでも発火性があり、扱いを間違えると破裂や火災の原因となり危ない。民間の航空機に乗る時は、各社でバッテリーの持ち込みなどの制約があったり、航空便で荷物にバッテリーを含む場合には申請が必要になる。航空会社や運送会社では、バッテリーは危険物扱いという認識なんでしょう。 そして、今回のポケベルもトランシーバーも、爆発しているのはバッテリー付近と共通している」(量産型カスタム師) そこに何かが仕掛けられていたと......。