実は50人に1人…見逃さないで!「子どもの弱視」早期発見に“3歳児健診”が大切な理由
最近、中学1年生になる甥がメガネをかけ始めた。学校の眼科健診の際に、結膜炎の症状があり病院で再検査したところ、思いがけず「弱視」と診断を受けたのだという。 しかし本人は「メガネをしなくてもちゃんと見えている」と言い、治療用メガネの装着を渋るので両親も困っているようだ。両親も「もっと早く気づいてあげたら…これから視力が改善されるのか分からない」と不安を口にした。 実はこの弱視、子どもの50人に1人の割合でみられるという。早期発見にもつながる“3歳児健診”の重要性とは。 (デジタル取材班・ 津野紗也佳)
■視覚発達にはタイムリミットがある
「弱視」とは一般的に、視力の発達が不十分で、メガネやコンタクトで矯正しても視力が1.0に満たない状態のこと。 人の目は、生後すぐは光が分かる程度。成長とともに視力も発達し、1歳で0.2~0.3、2歳で0.4、3歳から6歳で多くの子どもが1.0ほどになる。 視力の発達には5、6歳までの時期に「ものをくっきり見ること」が必要だが、それが何らかの原因で妨げられると正常な視力の発達が止まってしまうのだ。 弱視と聞いて「うちの子は、周りの木や車もよく見つけるし関係ないだろう」と思う親も多いはず。ただ、幼児は0.3ほどの視力があれば日常生活を不自由なく送ることができ、周囲も目が悪いことに気づかないケースもあるので注意が必要だ。
■弱視になる原因は
愛媛大学医学部 眼科学講座で弱視・斜視を専門とする飯森宏仁助教によると、弱視になる原因は以下の4つ。 ①屈折異常弱視=遠視や乱視が強いために起きるもの。遠くにも近くにもピントが合わず、脳が刺激されるチャンスがない。 ②不同視弱視=遠視や乱視の程度に左右差がある場合に起きる片目の弱視。片目は見えるため自覚症状も乏しく、特に注意が必要。 ③斜視弱視=斜視により起きる弱視。片目で見ているので、その時にもう片方の目を使っていない。 ④形態覚遮断弱視=乳幼児期に視覚刺激が遮断されることによるもの。先天白内障、眼瞼下垂など。