「最期まで綺麗に」50代以上の層でアートメイクの需要増か 終活への意識と「この年齢だしもういいや」からの変化
その後も、しばらく鏡を持って感激した様子だった。 ■60歳以上の女性の7割「昔より化粧が大変」 東京イセアクリニックによると、アートメイクのカウンセリングを受ける50代以上の患者の割合は、2020年度の10.6%から2023年度には21.7%と増加しているという。 柴田看護師も「私が施術を担当するようになった7~8年前は、『美しくなりたい』と美容医療に敏感な20~30代の患者がメインでしたが、ここ最近は50~60代以上の患者も増えてきた印象です」と話す。 同クリニックの調査(※1)によると、60歳以上の女性の7割以上が「昔より化粧が大変」と回答。具体的には、▼まゆ毛をきれいに描く、▼シミを隠せないなどがあげられていて、加齢による視力や筋力の低下が影響しているとみられる。 Aさん(64) 「肌もたるんできて、まゆ毛を思うように描けなくて…まゆ毛さえちゃんと描けたら出かけられるんですけどね」 (※1)東京イセアクリニックが60歳以上の女性287名を対象に行った「メイクの悩みに関する調査」 ■“終活”としてアートメイクを選択も 患者のなかには、人生の終わらせ方を考える“終活”のひとつとして、アートメイクを選択する人もいるという。 医療アートメイク専任 柴田看護師 「50~60代は、友人や親族に先立たれる経験も多くなってくるからでしょうか、『突然倒れたときのためにまゆ毛だけは綺麗にしておきたい』と感じている患者さまは多いように思います。 まゆ毛は“顔の額縁”ともいわれているので、まゆ毛のメイクを重視している女性も多いはずです」 Aさんは、老眼に加えて、29歳のときに発症した難病の症状もあり、目が見えづらいこともあるという。また、アートメイクはMRIなど病院での検査に影響があると思い施術をためらっていたが、Aさんの場合は問題がないと分かり施術を受けることにしたという。 (※東京イセアクリニックでは、アトピー・ケロイド体質の人、心疾患・糖尿病など疾患を持っている人には施術を行っていないといいます。治療や検査で通院している場合は医師への相談が必要です。また、施術後にMRIを受ける際には、必ず医療機関にアートメイクをしている旨を伝えてほしいということです)