新国立競技場では“仮設” 陸上の「サブトラック」とは何か?
選手にとってサブトラックの役割とは
陸上選手にとって、サブトラックは競技にどのような役割を果たすのでしょうか。 「選手にとってサブトラックの使い方はいろいろあります。ウォーミングアップや、試合に向けた調整で使う選手、走・跳・投 それぞれの専門種目の練習をするなど様々です」。(平田さん) 大会期間中は選手がメイン競技場に入ることは制限されているため、サブトラックは指導者やトレーナーのサポートを受けられる場所でもあると平田さんは話します。 「陸上のテレビ中継などを見ていただいて分かると思いますが、メイン競技場では選手は孤独です。監督、コーチから最低限のアドバイスを受けることはできますが、それ以上はありません。メイン競技場で素晴らしいパフォーマンスを発揮する為に、サブトラックで周りの方々にサポートしてもらい、準備します」
陸上の「聖地」となる場所が必要
選手たちの目指す場所として陸上競技ができる場所が必要だと、平田さんは陸上経験者としての思いを話しました。 「全日本インカレやインターハイなどは、各地域のサブトラックのある競技場で行われています。かつて世界選手権が行われた国立競技場は、陸上をやっている者たちのあこがれの場所でもありました。大きな大会が行われ、世界チャンピオンが誕生した場所は『レガシー』として残し、子どもたちが夢を馳せる場所になってほしいですね。高校球児の聖地が甲子園であるように、陸上競技をやる子どもたちにも聖地が必要だと思います」 神宮外苑の再開発の中で、常設での建設の可能性が残る「サブトラック」。常設のサブトラックがなければ、国際大会はおろか高校総体も開催することができません。数々の名シーンが生まれるだろう東京五輪の会場で、競技したいと思う子どもたちは多いはずです。1991年の世界陸上で、男子100メートルのカール・ルイス、男子走り幅跳のマイク・パウエル、男子4×100メートルリレーと3つの世界新記録が生まれた国立競技場。この陸上の「聖地」に変わる場所は、いったいどこになるのでしょうか。 (ライター・篠崎有理枝)
《取材協力》平田卓朗(ひらた・たくろう) 新宿鍼灸柔整歯科衛生専門学校 スポーツトレーナークラブ顧問。1980年7月4日生まれ。東京都出身。八潮高校、日本体育大学、八潮市陸協などで2007年まで現役選手として陸上競技を行う