新国立競技場では“仮設” 陸上の「サブトラック」とは何か?
政府が先月公表した新国立競技場の新たな整備計画で、東京五輪では「サブトラック」が“仮設”と改めて示され、陸上界からは戸惑いの声が上がりました。陸上関係者が必要だと訴える「サブトラック」とはどんなものなのか。また選手にとってどのような役割を果たすのか。陸上の十種競技で2002年アジア選手権は銅メダル、2001年・2003年の日本選手権では優勝し、現在はスポーツトレーナーとして活躍する平田卓朗さんに聞きました。 【写真】解体された国立競技場 数々の名場面を生んだ「聖地」の57年
常設でないと陸上の主要大会が開けない
陸上競技が行われる競技場には、競技が行われる「メイントラック」とは別に「サブトラック(補助競技場)」があります。この「サブトラック」は、競技に出場する選手が主に調整やウォーミングアップの場として使用します。競技場自体にあっても、近隣施設にあっても構いませんが、施設の区分によって詳細が決められています。 平田さんは「新国立競技場にサブトラックが常設で建設されないと、主要大会を開催することができない」と言います。 「日本陸上競技連盟公認の陸上競技場は第一種から第四種までの区分に分かれています。国際的な大会や、日本選手権が行えるのは『第一種』と決められています。2010年の規約改正で、この『第一種』の競技場には補助競技場(サブトラック)に『全天候舗装400メートル第3種公認競技場が必要』と定められました。『第三種相当』の競技場には400メートルトラックが8レーンなくてはなりません。この補助競技場がなければ、『第一種』と認められず、世界選手権などの主要大会を開催できません」 今までの国立競技場にも近くにサブトラックはありませんでしたが、隣接する東京体育館の付属陸上競技場(1周200メートルが5レーン)と、近隣にある代々木公園陸上競技場(1周400メートルが8レーン・第三種公認)を事実上のサブトラックとし、「第一種」として登録されていました。現在「第一種競技場」として認められている「味の素スタジアム」には「西競技場」が、「日産スタジアム」には「日産小机フィールド」が補助競技場として整備されています。これらの補助競技場は、陸上競技の「サブトラック」として使用されるだけでなく、単独でも利用されています。 「『日産小机フィールド』は、陸上競技以外にもサッカーやラグビーの試合が行われています。さらに『日産スタジアム』と『日産小机フィールド』のトラックは、指定された日程ですが、一般の方にも無料で開放されています。トップアスリートと同じグラウンドを走れるのは嬉しいですよね」(平田さん)