プロの着こなし拝見! スタイリスト村上忠正の秋冬コーデ【昼編】
アウトドアなベストでアクティブさを“ちょい足し”
確かに大柄だったりカラフルな着こなしは、いつかトライしたいと思っていても隅々のコーディネートまで考えると煩わしくなるもの。しかしセットアップなら自動的に成り立ちます。これは大柄・色柄にチャレンジしたい人には特に朗報です。そして村上さんはインナーにも手だれなこだわりを見せます。インにはキルティングベストを着込んで、アウトドアな雰囲気を巧みに取り込んでいます。 「普通、テーラードのセットアップというと、取り入れられるインナーもドレッシーなシャツやニットなどに限定されがち。ですがts(s)のこのセットは非常にカジュアルなスペック。ゆえにこういったラギッドなベストも難なく合わせられるのです。もちろん、シックなタートルニットなどもこのセットアップにはマッチします。意外に幅広い着こなしが楽しめるワンセットなのです」 そして、仕上げの足元はニューバランスの990。これまでの村上スナップでも数回拝見した名品スニーカーです。
トラッドスタイルが若返る高機能スニーカーのハズし技
「昔からニューバランスのスニーカーが好きなんです。ただし、以前はいわゆる“旧モデル”と呼ばれる576や996、それに1300などがメイン。こういった990系を愛用するようになったのは2000年以降ですね。独特なぽってりしたフォルムが、最近の緩めのフィットやルーズシルエットの服とマッチするような気がして。この990は履きやすいことはもちろん、自分好みのアイテムと相性良ところもポイントです。特に気に入ったので、茶×グレーの990も手に入れました。以前はこういった複雑なパターンのスニーカーには手を出しませんでした。しかし昨今はスタイリングに変化を付けたくて、積極的に導入しています」 本誌でもコーディネートを大人っぽく仕上げるにはアクセサリーが大事と口をすっぱくして申し上げております。もちろん村上さんはスタイリング仙人。ココでもきっちり「気になる」部分を作り上げています。
金銀ミックス・アクセが視線を引き付ける
「まだまだ暑いですからね。時計は革ベルトよりもブレスレットタイプがサラッと付けられてイイんです。ゴールドの時計であれば常に僕が付けている金のリングともマッチしますし。ただ、すべてがゴールドだと自分の場合、少し艶っぽく見えすぎ。これは人による部分ですが、ゴールドに統一することで艶っぽさがアップする人や服装も確かにあるでしょう。しかし僕の場合は時に別素材を混ぜたりもします。もちろん、小指のシグネットがホワイトゴールドということもあり、シルバートーンを意識的にミックスした部分もあります。個人的にはコレが色っぽいと思っているんですよ(笑)」 一見無造作風ですが、この腕元のアクセ・コーデもしっかり考えられた組み合わせ。というか、素材をあえて混ぜ込んでいるから自然に目に付くという効果もあると思います。また、男らしい節くれ立った手に繊細なヴィンンテージアクセを取りあわせるというコーデがすでに練達の域。まったくしみじみカッコいいですよねぇ。 ということで、次回は村上流の“夜を切り裂く”ド渋なジャケパンスタイルをお届けします。請うご期待!
● 村上忠正(スタイリスト)
1969年、東京生まれ。21歳の時、当時スタイリストであった鈴木卓爾氏に師事しその後独立。メンズファッション誌やタレント、広告等でのスタイリングを中心に活動する。特にメンズの成熟したドレスコーディネイトテクニックに定評あり。昨今は谷原章介氏のスタイリングを手掛けるなど、多忙を極めつつもSNSにて自身のコーディネートをアップし好評を博す。
写真/田中駿伍(maettico) 編集・文/長谷川 剛(Table Rock Script)