市営住宅2棟解体へ 大規模地震で倒壊の恐れ 2025年1月にも着手 広島市西区の市道陥没事故
広島市西区福島町の市道陥没事故で、市は被災した現場近くの市営住宅2棟を解体する方針を固めた。2025年1月にも着手する見込み。いずれも傾きやひび割れなどの損傷が確認され、大規模な地震が発生した場合に倒壊の危険性があるため、解体が必要と判断した。 道路はぐちゃぐちゃ、まるで地震 陥没事故 複数の関係者によると、市の担当者が今月中旬から事故当時の入居者に「解体の方向で検討している」と説明しているという。室内の家財は放棄を求めた上で補償の協議も進めている。 解体は陥没事故現場地下の雨水管の整備工事を市から受注した共同企業体(JV)が担う。市は工事と事故に因果関係があるとみて、専門家による第三者委員会を設けて事故原因の究明を続けている。解体費や家財の補償の負担割合は今後、市とJV間で協議するとみられる。 2棟はいずれも4階建てで1966年に完成。事故が起きた24年9月26日の時点で18世帯36人が暮らしていた。市はこのうちホテルなどに避難している住民から、近隣の市営住宅や民間の賃貸住宅へ転居する意向を確認した。 市は現場の半径50メートル以内の建物27棟で実施した危険度調査で、市営住宅2棟を含む9棟を大規模な地震が発生した場合に倒壊の危険性がある「危険」、3棟を「要注意」と判定していた。 事故は地下約30メートルで雨水管の整備工事中に発生。市道が東西約40メートル、南北約30メートル、深さ最大約2メートル陥没した。市は半径50メートル以内の住民に避難を呼びかけ、今月16日時点でホテルや民間の賃貸住宅に31世帯58人が身を寄せている。
中国新聞社