【もったいないバナナ】スターバックスが“規格外バナナ”を使ったメニューを展開するのは「現代のビジネス戦略として理想的」と評価される理由
スターバックスでは、おいしく食べられるのに様々な理由で廃棄されてしまう規格外バナナ、通称「もったいないバナナ」を使ったメニューが販売されている。環境への配慮を全面に押し出した取り組みに見えるが、イトモス研究所所長・小倉健一氏によると、「ビジネスとして非常に賢い戦略」と評価する。いったいどういうことか、小倉氏が解説する。 【写真】「もったいないバナナ」キャンペーンで展開されたメニュー「バナナブリュレフラペチーノ」
* * * スターバックスは、2024年5月から「もったいないバナナ」キャンペーンを始めている。このキャンペーンは食べ物を無駄にしないことを目的としている。スーパーマーケットなどで売られているバナナは、形や大きさが決まっているため、少し曲がっていたり小さすぎたりするバナナは、そのまま売り場に出すことができない。 スターバックスはこのような規格外のバナナを使って、「バナナ ブリュレ フラペチーノ」「バナナの米粉マフィン」「バナナの米粉ロールケーキ」という3つの新商品を作った。約300万本ものバナナを使っているという。商品を買った人には「救出ありがとうございます!」というメッセージが書かれたレシートが渡されるから、「なんだこれは!」と驚いて気付いた人もいるかもしれない。 このキャンペーンで使われる「もったいないバナナ」は、バナナの会社ドールが2021年から始めた取り組みの一部である。店頭に並べられないバナナを無駄にせず、おいしい商品に生まれ変わらせる活動だ。スターバックスは完熟バナナと焦がした砂糖を組み合わせたり、米粉を使って新しい食感を作り出したりするなど、工夫を凝らしている。ただし、これらの商品は普通のバナナを使った商品より20~30%ほど値段が高く設定されているようだ。
規格外バナナは市場では安く仕入れることができる
食べ物を無駄にしない先進的な取り組みではあるが、実は以前から、規格外の食べ物は、そのままの形で売られることはなくても、別の方法で使われるケースは少なくない。たとえば2019年にオーストラリアの研究機関CSIROが発表した研究によると、規格外の野菜から栄養たっぷりの食品を作る技術が開発されている。ブロッコリーやニンジンから健康に良い成分を取り出したり、発酵させて栄養価を高めたりする方法が見つかっている。 他にも、かつてコンビニで売れ残った弁当を値引きせずに廃棄しているとして大きな批判を受けたことがあるが、実際には店頭から消えた食品は、飼料などで再利用されていた。それでも食品ロス問題などとして、小泉進次郎衆議院議員らが大きく取り上げたことは記憶に新しい。 規格外のバナナも、たしかに高級スーパーには並べられないのかもしれないが、ジュースなどに加工することもできたはずだ。 実際に市場で取引されている金額をみていくと、規格外のバナナは普通のバナナより40~50%も安く仕入れることができる場合もあるようだ。となると、スターバックスは、安く手に入れたバナナを使って高い値段で商品を売ることで、通常商品以上の利益を得ている可能性もあるかもしれない。