JR東海のドクターイエロー、ついに引退 メリット多い「営業車検測」へ
JR東海は、同社所属の新幹線電気軌道総合試験車923形0番代(通称「ドクターイエロー」)を、2025年1月をもって引退させる。 【関連画像】ドクターイエローの車内。測定機器から集められた電気・信号関係のデータがモニターに表示され、それを検測員が監視・点検する ドクターイエローは、約10日に1度、実際の営業路線を走行しながら、東海道・山陽新幹線の電気設備や軌道設備などの状態を検査している。いわば新幹線の「お医者さん」である。JR東海に所属するドクターイエローは「T4編成」と呼ばれ、01年に導入されている。このたび老朽化に伴う取り換えの時期を迎えることから引退することになった。 後継となる検査専用車は新造せず、26年度以降に増備する営業車両のN700Sの一部に搭載される検測機能によって代替する。ただし、この検測機能が本格稼働するのは27年1月からで、T4編成の引退から2年もある。この間の検査はどのように行うのか。 実は、ドクターイエローは2編成あり、JR東海所属のT4編成のほか、05年に導入されたJR西日本所属の「T5編成」が存在する。T4編成引退後はT5編成のみで検測を行うことになる。JR西日本も27年以降にT5編成を引退させて、JR東海と同様に営業車検測に移行する方針だ。 ●営業車による検測は「念願」 目を引く黄色い車両は、「見ると幸せになる」ともいわれ、知名度も高かっただけに、ドクターイエローの廃止は寂しさをもって受け止められた。 一方でJR東海の担当者は「営業車検測の開始は念願だった」と語る。専用車両による検測は、営業列車の合間を縫ってダイヤを作成する必要があるだけでなく、10日に1度しか検測できないなど非効率な面があった。技術開発の進歩により、検測機器が小型化し、営業車の限られた床下スペースに機器を配置することが可能になったため、今回のT4編成引退が実現した。 これにより、約10日に1回であった検測は、毎日、複数回実施できるようになる。営業車検測機能には、画像データを解析して設備の異常を検知する機能など、ドクターイエローにはなかった機能も搭載される。高頻度かつ詳細な検測が実施可能になり、より効率的に設備の安全性・信頼性を高めることができる。