防御率5.69 ヤクルトのリリーフはなぜ打たれる?
■ヤクルト 場当たり感を感じる投手起用でリリーフ陣が崩壊 4月中旬に9連敗を喫し、下位に低迷するヤクルト。バレンティン、畠山など打線には実力者や好調な選手が多く得点力はリーグトップクラスだ。しかし小川、館山の両エースを筆頭に投手陣には故障者が続出。とくに救援投手陣は防御率5.69の惨状で、点をとってもそれ以上に失っている。 表2は投手の苦しい台所事情を表したもの。今シーズン同点の場面で登板したリリーフ投手はすでに8人、3点以内のリードで登板した投手も6人と役割が固定できていないようすが見て取れるだろう。さらに結果をみてみると同点での15登板のうち8度は勝ち越しを許している。3点リードの場面でも失敗(走者をためて降板、同点&逆転を許す)が半分とまったく役目を果たせていない状態だ。 なぜこれほど救援に失敗するのか?その原因と思われるのが「ピンチを作ってからの投手交代」だ。ここまでの試合でヤクルトの投手が得点圏にいる状態で登板したのは19回にも及ぶ。この数字がいかに多いかは投手陣の好調な広島の場合5回しかないということでお分かりいただけるだろう。ピンチでの投手交代は結果に対するリスクが非常に高い。走者を残して降板した投手への信頼は降板した時点で失われ、登板した投手は失敗の許されない状況でのピッチングを余儀なくされる。そして失敗した場合には2人の投手への信頼が同時に失われてしまうのだ。 この「危険な継投」を繰り返すことでベンチには信頼のおける投手がいなくなり、”その日調子のよさそうな投手”や”直近2,3試合で結果を残している投手”などが日替わりで起用される状況に陥ってしまうのである。その場はしのげたとしてもチームの状態として好ましいものではないだろう。 5月1日の試合では同点の6回に登板したカーペンターが勝ち越しを許したが、イニングの最後までは投げきった。結果はうまくいかなかったもののこういう形の継投を継続することができれば投手陣の役割分担もできてくるのではないだろうか。目先の試合結果だけにとらわれない投手起用が浮上へのポイントになる。 ※注目選手 秋吉亮 走者がいる状況を苦手とする投手が多い中でルーキーの秋吉の投球内容は注目に値する。ここまで11試合に登板して防御率3.92で0勝3敗と一見パッとしないものの、与えた四球は2、得点圏での被打率は13打数で0安打とリリーフ投手としての高い資質を感じさせる数字を残している。すでに5本のホームランを浴びている点は課題ではあるが、総崩れのブルペンを立て直す際の中心選手として活躍を期待したい。