「赤ちゃんが乗っています」知るか! 実はただの「幸せな人生アピール」ではない!? 街中のクルマで見かける“謎のステッカー”が「本当に伝えたい」意外な内容とは
実際どうなのか
街中を走行していると「赤ちゃんが乗っています」や「BABY IN CAR」というステッカーを貼ったクルマを見かけることがあります。 よく目にするこのステッカーは、周囲のドライバーに何を伝えているのでしょうか。またどのような目的でできたのでしょうか。 【画像】えっ…!? これが「なぜか赤ちゃんが泣き止むスーパーカー」の正体です(30枚以上)
走行中によく目にするため、すっかり見慣れたこのステッカー。とあるアンケートでは、赤ちゃんや幼児のいるドライバーの約6割が、ステッカーを貼っていると答えたといいます。 こうしたステッカーは、道路交通法で定められたものではなく、もちろん「掲示の義務」というのはありません。付けるかどうかはドライバーの任意で、好きなバンド名やアニメキャラ、テレビ番組名のステッカーを貼っているのと同じ扱いです。 したがってサイズやデザインに決まったルールも無く、ネットショップやカー用品店にはさまざまなデザインが登場しています。 窓や車体に貼り付けるステッカータイプの他に、ボディにつけるマグネットタイプや車内から窓に貼り付ける吸盤タイプなど、掲示の方法もさまざまです。 貼る場所によっては、保安基準を満たさないおそれがあるので、注意しましょう。たとえばフロントガラス、運転席、助手席の窓に貼ると、十分な視界を確保できないと判断されかねません。なお、リアガラスはステッカーを貼ったままでも車検が通ります。
「赤ちゃんがいるから何なの?」実は意外な効果があった!
ところで、周りからそのステッカーを見ると「赤ちゃんが乗っている…だから何?」とマイナスのイメージを感じる人もいるようです。確かに「赤ちゃんが乗っています」というメッセージだけでは、「気遣いを強いられている」と感じなくもありません。
結局、そのステッカーを周りに見せることで、何をしてほしいのでしょうか。周囲はこのクルマに対して、何をどう気を付ければいいのでしょうか。 もちろん「赤ちゃんが乗っている」という事実を示し、後続車に単に「注意を促す」効果があります。しかし、前のクルマに追突しないように気を付けるのは当たり前のことで、前のクルマに小さい子供がいるかどうかは別に関係ありません。 実は、ステッカーを貼ることにより「ドライバー自身」が安全運転を「いっそう周囲に向けて意識する」という心理的な効果も期待されているのです。 つまり「私は赤ちゃんを乗せています。大人だけを乗せている時と同じように運転するだけでは危ないんです。だからこそ、いつも以上に安全運転に努めています」という宣言でもあるのです。 では、この行為には意味があるのでしょうか。 これは「パブリック・コミットメント」と言って、周囲の人に公言することでより明確に意志が固まる方法として知られています。 ところで、赤ちゃんを乗せて運転することは、普段の運転と比べて、何がどう「一層の安全運転」が必要になってくるのでしょう。 赤ちゃんというのは大人と違って「言って聞かせること」ができません。特に親の片方1人だけで赤ちゃんを乗せている場合、運転中赤ちゃんに泣かれると、取りなすすべもありません。 そう、赤ちゃんの「泣き出すタイミング」というのは、なかなか大人には予期できないものです。泣き出す理由はさまざまですが、体温調節が上手くできないことや、思ったように眠れないことなどが挙げられます。 赤ちゃんの泣き声は、ドライバーの集中力を削ぐことにもつながります。ドライバーは「ああ!早く泣き止んでほしい!運転に集中できない!早く泣き止んで!」と焦り、赤ちゃんの機嫌を取りなすことばかりに気が向いて、いつの間にか、周囲のクルマに気遣う余裕もなく減速や停車をすることもあるでしょう。 走行中に予想しない動きのクルマがいると周囲のドライバーは「なんだこいつ、運転が下手くそなのか? 迷惑だから二度と運転するな!」と怒り狂って警戒してしまいます。しかし「赤ちゃんが乗っています」のステッカーがあると、少しは納得できるのではないでしょうか。 ちなみに「赤ちゃんが車に乗っています」「BABY IN CAR」など、車内に赤ちゃんがいることを知らせるステッカーは、1980年代からすでにアメリカに存在していました。とあるベビー用品メーカーが考案したとされています。 当時の新聞では、メーカー社長のコメントとして「子どもが乗車している車への安全意識を高めるために考案した」とされています。 赤ちゃんを乗せたドライバーに関わらず、道路上にはさまざまな事情を抱えたドライバーがいます。安全運転はもちろんのこと、思いやりの精神を持ち、互いをいたわる気持ちが大切です。思いやりを持つことで防げる事故もあることを忘れずに運転しましょう。
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