デンソー、ニッパ全株式をファンドに譲渡する背景事情
デンソーはグループ会社で精密小物部品を製造するニッパ(静岡県磐田市、山口幸雄社長)について、デンソーが保有する全株式を投資ファンドに譲渡する。車の電動化が加速する中、ニッパの継続的な成長を考慮して譲渡を決めた。デンソーの事業ポートフォリオの変革やサプライチェーン(供給網)の維持・強靭(きょうじん)化の一環でもある。同社は人や物が自由に移動できる「モビリティー社会」の実現に貢献するため、体制を整備している。 【一覧表】トヨタグループ7社の業績詳細 30日付で日本みらいキャピタル(東京都千代田区)が運営するファンドが全額出資する特別目的会社「ニッパホールディングス(HD)」に、デンソーが保有するニッパの全株式を譲渡する。ニッパHDは10月1日付でニッパを完全子会社化する。 ニッパは1936年に日本パッキン製作所として創業した。自動車部品であるラジエーターキャップの製造を軸に、精密プレス技術などに強みを持つ。92年にデンソーが資本参加して以降、同社が競争力強化を支援してきた。ニッパの資本金は4000万円。デンソーの出資比率は36・37%。従業員は275人(24年1月現在)。 自動車業界では電動化や自動運転技術の開発が加速するなど、産業構造が変化している。今後のニッパの成長には既存の車載事業に加え非車載領域にも事業を展開する必要があるとみて、日本みらいキャピタルへの承継が最適と判断した。