2024年の首都圏中学入試は、読解力や分析力が重要に! 森上教育研究所の分析会をレポート
2月19日に森上教育研究所の第479回 中学受験研究会「2024年入試 首都圏中学入試の結果と分析」が行われた。その中で、前半に行われた入試問題の分析を通して聞くと、現在の中学入試の出題のトレンドが分かってくる。今回はそれをレポートしたい。
国語では「読みづらい」問題文が目立つ
まずは国語だ。平山入試研究所の小泉浩明さんが登壇し、スクリーンに映し出された資料とともに解説していく。 まず、「読みづらい」問題文が目立つようになってきた。読みづらいとはどういう意味か。漢字が多いとか、文語体とかそういった文体の問題ではない。書かれていることが理解しづらいという意味である。 たとえば、豊島岡女子では宮島未奈の『成瀬は天下を取りにいく』が出題され、同じストーリーの違う場面が文章1と文章2で分かれており、視点人物が変わっていく。小説ではよくある型だが、小説を読み慣れていない受験生にとっては読みづらい……分かりにくいものであろう。 また、問題文の中に、塾のテキストには出てこないような言葉が入ってくることもある。具体的にいうと、東京農大第一では鳥羽和久の『君は君の人生の主役になれ』を出題。この中で「ワンチャン」という言葉が出てくる。 いわゆる若者言葉の「一回ぐらいはチャンスがあるかも」という意味で、テレビやYouTubeなどではよく使われているから、受験生も知っている可能性はあろう。しかし、その言葉が入試問題の活字で現れると、ピンと来ない可能性もある。 難易度の高い「2つの問題文を組み合わせた問題」や「考えさせる問題」も また、2つの問題文を組み合わせる問題が増えてきて、2023年度は9校から出題されたが、今年は6校となっている。文章を組み合わせると、問題の構造が複雑になるので難易度が上がる。 この2つの問題文を組み合わせた問題を今年出したのは麗澤、横浜雙葉、横浜共立、豊島岡、筑波附属、市川だ。6校中3校が女子の進学校である。女子校は国語において、難易度が高い問題を出すことが分かる。 それと同時に、従来は物語文1問、論説文1問という組み合わせで2問出題することが多かったが、最近ではひとつの長い文章で1問を出題するケースも増えており、2024年度では13題も出ている。 もうひとつ、この何年かで注目されているのが、考えさせる問題だ。今年、大宮開成の特待生選抜入試では、テレワーク人口の割合が増えているグラフを示し、それを見ての考察を答えさせる問題が出ている。 2つの文章を合わせた問題や考えさせる問題は、学校側としては出したいが、問題を作るハードルが高いので、なかなか出せないのかもしれない。