英国アカデミー賞(BAFTA)で起きたドラマを一挙総覧
来年のホストは、ヒュー・グラント?
きついジョークで会場を引かせるコメディアンよりも素晴らしかったと賞賛されたテナントのホストぶりだが、早くもライバル登場? 最優秀監督賞のプレゼンターを務めたヒュー・グラントは、『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』(’23)で演じたウンパ・ルンパを再現し、「ウンパ・ルンパ、ドゥープティ・ディ、今度は監督賞部門だ!/ウンパ・ルンパ、ドゥープティ・ディ、これらの映画のほとんどは率直に言って長すぎた/ウンパ・ルンパ、ドゥープティ・ディ、でもなぜかノミネート作品は......」と作品紹介。実は毒っ気たっぷりな性格らしく、最近は悪役が増えているグラントのイギリス的なユーモアセンス、ホストには最適かも。
拍手だけなら『異人たち』が大勝利?
今年のBAFTAアワードは、主演男優賞と助演男優賞にイギリス人男優が一人もノミネートされないという事態が発生。『Saltburn』(’23)で助演女優賞にノミネートされていたロザムンド・パイクはBBCのレッドカーペット・インタビューで「イギリス人が自国民を応援していると感じられなかったので、ノミネートされて本当にすごくうれしかった」と語っていたほどだった。実際、今シーズンの賞レースを賑わせている『異人たち』(’23)のアンドリュー・スコットが主演男優賞にノミネートされなかったのはイギリスの映画人をガッカリさせていたようだ。その証拠に、アンドリューと共演のポール・メスカルが最優秀アニメーションのプレゼンターを務めるとアナウンスされた瞬間から拍手喝采の嵐! 授賞式で一番、盛り上がっていて、まさに大勝利だった。
アイルランド人初の快挙
『オッペンハイマー』(’23)でキリアン・マーフィーが最優秀主演男優賞を受賞しているため、イギリス人男優のノミネート無しに異論を唱える人もいるかもしれないが、彼はアイルランド人。今回の最優秀主演男優賞受賞はアイルランド人としては初となった。イギリス連邦ではあるけれど、マーフィーのことをイギリス人と呼ぶと、多分嫌がられるはず。というのも、彼は長年ロンドンで生活していたものの、息子たちが上品なイギリス英語しか話さなくなっていたことを危惧し、祖国の誇りを取り戻させるために2015年に家族でアイルランドにお引っ越ししていた。そんな息子たちは、受賞スピーチで「オッペンホーミーズに感謝します」とアメリカのスラングを交えていたパパをどう思った?